LINEマンガで連載中の『再婚承認を要求します』の原作、韓国小説の翻訳ネタバレを記載。
端折ってまとめて書いているので、全体的に伏線漏れあり。ご了承ください。
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212話 魂が出ている
ナビエがふと後ろを振り返るとハインリがいた。彼は膝を抱えて笑っていた。
じろりと見たが、ナビエが見ていることに気づかないほど笑い転げていた。
「そんなに変ですか?」とカフメン大公に尋ねたが変だと言い切られてしまう始末。思わずため息をつくとマスターズが平民たちも皆そんな言葉を使うわけではありませんと真剣に言ってきた。
勿論ナビエもそれは分かっている。毎日のように平民と謁見の時間を持っているので、知らない訳がない。それでもさっきのような物言いをしてみたのは、少しでも貴族に見えないような発言をしてみたかったからだ。結果皆を笑わせただけだが。
ハインリに何をしていたのですかと聞かれたので、荒っぽい平民を真似ていたと伝えるとなぜかと聞かれる。
魔法に関することはハインリに伝える必要があると思い、氷魔法が使える魔法使いに教えを請いたいからと正直に答えた。するとハインリの表情が一変。彼に習う必要があるのか?と聞いてきた。
ナビエは自分の知る氷が使える魔法使いは大半が東大帝国の人間であった。それ以外の人もいるかもしれないが、分からない。なので、今回会える魔法使いに何とか習いたいのだった。
その旨をハインリに言うと、彼はこう答える。
「勿論心配ですが、それならば護衛を付ければ良い。カフメン大公が紹介してくれた人でもあるし、そんなに心配はしていません。…しかし、クイーンが平民の真似をしても誰も騙されませんでしたよ。それを気にしているのです」と言った。
*
そこへ走ってきた騎士が話を遮る。緊急の様子で、「東大帝国の皇帝が到着しました!」と言ってきた。
穏やかな雰囲気は一変。ジュベール伯爵夫人は持っていたチェス駒を落としてしまい、マスタースは唇をかんだ。あんなに笑っていたハインリの表情も固まった。
ハインリは「迎えに行きます」と言って、視線をナビエに向けた。平静を装っている顔だった。彼の内面は大荒れだと予想された。
ナビエは「私は体調が悪いので行きません」と嘘をついた。ハインリは部屋でゆっくり休むように伝えた。心配した様子だった。
***
ナビエが部屋に入ると侍女たちが皆心配して声をかけてきた。
ナビエは大丈夫と伝え、牛乳を暖めるようにと、マスタースに頼んだ。
*
体が疲れているのは勿論嘘だが、精神的な疲労は本物で会った。ソビエシュをずっと避けることはできないであろう。他国の皇帝への礼儀でもあるし、彼は自分が怪我をした時にエベリーを送ってくれたこともある。そして対価として魔法使いを借りることにもなったので、そのお礼も伝えなくてはならない。
ナビエはそもそもここまでソビエシュが来たのであれば、そこまで怪我は酷くないのではないかと思った。
それよりもハインリの様子が気になった。言葉では大丈夫と言っているが彼はいつも本心を言わないからだ。考えた結果、ハインリのために特別なイベントを準備することにした。そこで、スケッチブックと絵の具を用意するように侍女に頼んだ。
ナビエは彼の不安な気持ちを取り除くために、絵を描いた。タイトルは「死ぬまであなたと一緒」。
墓の前に2つのリングを描いた。
描き上げるとローズとジュベール伯爵夫人がタイトル通りだと称賛の言葉を述べた。
そして宝石の付いた額縁に入れて絵を渡すことにした。
*
ナビエはジュベール伯爵夫人とローズと一緒に絵を飾るために別の部屋に向かった。そこへ応接室に残ったマスタースが絵を出してローラに絵について聞いていた。
彼女はナビエの言った通りの理解ができていなかったのだった。(ローラも曖昧な返事)
***
同じ頃。ハインリは執務室の椅子に座っていた。ソビエシュとは少しの会話を交わしすぐに別れた。
それだけでも気分を害して、今は何もしたくない気分だった。ソビエシュが自分の体調がよくないと言うことで早々に切り上げたことが何よりもの救いだった。
しかし彼は治癒魔法を使ったとはいえ、かなり体調がよく見えた。それよりも気になったのは彼の目だった。以前あった時よりも瞳が澄んでいるように思え、ソビエシュが本当に病気なのか疑問に思っていた。
ハインリはそのように感じたとマッケナに伝えたが、マッケナ自身はソビエシュに何も感じていなかったので、同調しなかった。
*
その時ノック音が聞こえ、マスタースが入ってきた。彼女は布で覆った額縁を持っている。
ハインリが「それは何か?」と聞くと、マスタースは「皇后陛下からの贈り物です。皇后陛下が陛下のために描きました」と答えた。
ハインリはナビエからのプレゼントをとても喜んで即座に布を取り、絵を見た。それには、半分土に埋まった墓が描かれており、棺の上には結婚指輪が2つ重なっていた。背景は墓地である。
彼は絵の意味が理解できず、マッケナにどういう意味かと質問。
マッケナは「ソビエシュ皇帝が来たけどうまくやらないと墓に埋められてしまうよ」という意味ではないかと言う。
すると、遠くから会話を聞いていたジェサンがそういう意味ではないと思うと伝えた。彼は芸術に造詣があると言う。彼が言うには、「皇后陛下は結婚生活が詰まらないと感じているので、私を楽しませてみなさい」という意味だと伝えた。
なんとも言えない解釈だった。
ハインリはイライラして二人に退出を命じた。少し不安になりつつ考えるが、ナビエが悪い意味を持った絵を自分に送るような人ではないと思った。
‥‥とは言え、気になった。何か気に食わないことがあるのだろうか。話しづらいから絵で表現したのだろうか。平民の真似をした彼女に驚いたことが失礼だったのだろうか、と思いめぐらせた。
***
ナビエは夕食時にハインリと会った際、彼がどんな反応をするかが気になった。笑うだろうか。それとも感動するだろうか。もう不安な気持ちは払しょくできているだろうか。
どれでも良かった。ハインリが早く帰って来て、何でも打ち明けてくれることを願うばかりだった。
*
しかし午後6時ごろになって、ハインリよりも先にナビエに用事があると、副官が訪ねてきた。彼は『急いで魔法使いをヨルン(ダム建設の街)に送る準備をする必要がある』と手伝いの要請をしてきた。
ダム建設についての具体的な事案は専門家に任せているが、統率者は確かに必要であった。副官が言うにはこの件はナビエが立案者なので、準備に行く人として適任だと言う。
ナビエはハインリに相談しようと考えた。副官にハインリの居場所を聞くと、ソビエシュと一緒にいるとのことだった。
*
ナビエは2人がいる「夜の部屋」へ真っ直ぐ向かった。ソビエシュと会うことになるが、できるだけ平静を装い、元妻としてではなく隣国の皇后として会うことに努めようと考えた。
できる限り私的な感情に線引をして、公的な扱いをしよう、エベリーを派遣してくれたことに対してはお礼をしようと考えていた。
*
ナビエは深呼吸して部屋のドアを開けた。
ソビエシュとハインリはテーブルを挟んで向かい合って座っていた。ナビエが入ってきた瞬間二人とも彼女を見たが、ナビエはすぐにハインリに向いた。ソビエシュには軽く挨拶をして自然なふるまいを努めた。
しかしソビエシュと目が合った瞬間、ナビエは違和感を感じた。彼女が見たのは、前回自宅の下で苦しむ表情をしていたソビエシュでもなく、法廷で怒り狂っていた彼でもなかった。
つきものが落ちたような…別人のように思えたのだった。
*
続く。
ナビエの平民のふりに笑うみんな。そんなに面白いんですね(笑)しかし柄悪すぎでしょ!
そんなことよりソビエシュが来ました。
こんなに歓迎されない皇帝も中々いないよな~と思いながら、ハインリ・ナビエを可哀相に思ってしまいます。
嵐よ、早く過ぎ去ってくれ~ですね。
*
この続きの213話はこちらから
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