LINEマンガで連載中の『再婚承認を要求します』の原作、韓国小説の翻訳ネタバレを記載。
端折ってまとめて書いているので、全体的に伏線漏れあり。ご了承ください。
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195話 ラスタの絶望(5)
出入りが厳しく規制されていたルイフトの宮殿とは異なり、宮殿は比較的解放されていた。
国ごとに警備体制は異なるが、多くの国では通常は皇族が過ごす居住地は警備が厳しく、その他庭園などは比較的出入りが自由にできるエリアであった。
西大帝国でも同様の警備体制がしかれており、宮殿の最も大きな庭園は公園と言えるほど、たくさんの人が行きかっていた。
カフメン大公にはたくさんの人の心の声が聞こえてくる。
『皇后は息子と娘、どちらを生むのだろう?』
『ニアンはランドレ子爵を捨てて、私と結婚する可能性はあるのだろうか…』
『東大帝国も内紛があるようだ』
『ジュメンシア老侯爵家は本当に偉そうだな…』
この中からさっき聞こえた声の主を探すことは大変だった。
ナビエが足元を凍らせてしまった使用人は調査中だと聞いたし、調査官に会う方が手っ取り早いと考えた。
*
カフメン大公は調査官と会うことは出来たが、外国人だという理由でその詳細は聞くこととは出来なかった。
しかし彼は心の声を聞くことが出来る。そこで調査官の心を読んだが、調査官自身も有力な情報を得ることはできなかったようだった。
カフメン大公は”いっそ使用人に直接会えれば…!”と考えていると、庭から先程気になった声の主と似た心の声が聞こえて来た。
カフメン大公はゆっくり振り返る。
*****
ソビエシュは牢屋に出向き、ある女性に会った。
女性はデリスであった。
デリスはソビエシュを見て、丁寧に挨拶をする。彼女は憔悴してやせ細り、不自然なほどしっかり口を閉じていた。
ソビエシュは彼女の災難を労い、大量に金貨を詰めた袋を渡す。それを持って、自宅に帰宅するように伝えた。
デリスは何度も丁重に礼をし、牢を立ち去った。
ソビエシュは遠ざかるデリスの姿を見ながら、騎士に帰路を離れて護衛するように伝えた。
*
その後再びソビエシュは執務室に戻った。カルル侯爵も一緒だ。
カルル侯爵は「なぜ敢えてトゥアニア侯爵にラスタ様が脱走した事実を知らせたのですか?彼は裁判前に彼女に危害を加える可能性もあります。なぜピルヌ伯爵ではないのでしょうか。」と聞く。
するとソビエシュは「トゥアニア侯爵が馬鹿だから」と答えた。
そう、彼は自分と同じくらい愚かな男だとソビエシュは考えていた。
神殿はラスタと自分の結婚は無効にしてくれないであろう。仮に無効になったとしても、ナビエとの離婚まで無効にすることは不可能だ。ナビエはすでに他の国の皇后となったし、妊娠までしている。
元に戻る道は無いに等しかった。いくら泣いて懇願しても、たとえナビエの心が変わろうとも、彼女が妻になることは無い。そのようなことをすればナビエの評判も自分の評判も地に落ちるだろう。
ソビエシュはトゥアニア侯爵の姿は自分と似ていると思った。
彼もまた妻を愛しながら愚かな判断をした。彼を見るたびに、自分を見ているようで動揺した。だからこそ、彼がどういう行動を取るのか気になり、ラスタの件を知らせて任せてみたのだった。
*
一方、宮殿の牢を出たデリスは喜びに満ちた気持ちだった。自由になった日の空は美しく見えた。
宮殿からの道順はパルアン侯爵から指示を受けていた。
ところが道中、喧騒が聞こえた。何かトラブルがあったのかと思いデリスは辺りを見渡す。
すると「皇后を引き出せ!」「皇后は陛下を騙して逃げようと言うのか!」「詐欺師が平民の希望とは何事だ!」と言う、複数の怒号が聞こえてきた。
”皇后”と言う単語にデリスは反応する。怒号の聞こえる人だかりに向かうと、そこには第二の皇后、ラスタがいた。
ラスタは群衆に囲まれ、騎士に両手を捉えられていた。デリスは群衆をかき分け、ラスタのところへ向かった。
ラスタもデリスに気づき、視線があった二人。しばし見つめ合う。デリスはラスタに切られ低地部分だけが繋がった舌を見せたのだった。
***
「ラスタが気絶したまま引きずられてきた。」ピルヌ伯爵はソビエシュにそのように報告した。民衆に怪我をさせられたのかと問うと、そうでは無いと言う。
ソビエシュはそこで、恐ろしいものを見た時に、以前気を失ったラスタを思い出した。
もしやデリスに会ったのだろうか?と彼は思った。以前デリスが舌を切られた際にソビエシュはすぐに治癒魔法が使えるエベリーを送ったがそれでも少しかくっつかなかった。その舌を見たのだろうか?
考え込んでいるソビエシュに、ピルヌ伯爵が話しかけた。
「ラスタ様が目を覚ます度に陛下の名前を読んでいますが…どうしますか?」
ソビエシュは会わないと即答する。もうラスタに会うのが嫌だった。きっと会ったら彼女に泣き顔を見せられ、否応なしに同情することになる。
しかし1分も経たないうちに、態度を変えた。どうせ裁判の前には一度は会わないといけないので、今会っておこうと思ったのだった。
***
ラタは宮殿に連れ戻され、部屋に入れられた。そこは童話の世界のような内装の部屋であった。
そしてこれまでのようにメイドを部屋に入れることは禁じられた。
寝ているラスタを医師が付き添って診ていた。
そこにソビエシュがやってきて、容態を聞く。どうやら馬車が倒れた際に打撲はあったもののそれ以外は大丈夫だそうだ。
但し驚くことが多かったようで、ショックを受けていると言う。
ソビエシュはそこで人払いを命じて、ラスタと二人きりになった。そこで「寝たふりはやめなさい。起きているのは知っている。」と問いかけた。
ラスタは目を開け、起き上がりソビエシュを見た。
ソビエシュは「逃げるなんていい選択ではなかった。」と問いかける。
ラスタは「逃げるしかない状態に追い込んだのは陛下ではないか」と答える。
それに対してソビエシュは「私が?全部お前の選択だよ、ラスタ」と言う。
しかしラスタは、自分は西宮に閉じ込められ外の状態も分からなかった。メイドは何も伝えてこない。ソビエシュがロテシュ子爵とイスクア子爵夫妻の裁判を見るように言わなかったら、逃げる判断すらしなかった、と答えた。
そこで、唇でソビエシュに「全て仕組まれた事なのか?」と問いかけた。
ソビエシュは「お前はいつも他人に責任転嫁をする」と指摘する。ソビエシュが知る数々の事件について、少なくとも4件は明らかにラスタが仕掛けたものだった。
それでもラスタは怯まない。ナビエを想い泣く陛下を見た。今ラスタを責めることは、ナビエと別れたことの腹いせではないか?と問いただした。
するとソビエシュは皇后にラスタを推したのは自分だ。ラスタと別れたのも自分のせいだ。それとは関係なく、ラスタ自身が数多くの罪を犯したことを責めているのだ、と伝える。
それでもラスタは知らないと言い張るので、ソビエシュは怒り、自白は必要ないと言い部屋を出て行こうとした。
ラスタは出て行こうとするソビエシュを必死に止めて話しかける。
「素直に廃位も受け入れる、離婚もする。だからグローリーエムと私は二人きりで田舎で過ごさせてください。裁判を受けたくない、人々が怖い」と伝える。
もちろんソビエシュはそんな話は受け入れない。素直に裁判で自分の罪を聞くように、とラスタに伝えた。
*
ラスタはそれに対して、「じゃあ、私が奴隷と知って結婚した!とその場で言う」とソビエシュを脅した。
しかしソビエシュはそれも想定の範囲内だった。実際ラスタが突然そんな話をしたところで、証拠がなければだれも信じない。むしろ不敬罪でさらに罪が増えることになるだろう、とラスタに伝える。
ラスタはショックのあまり言葉を失う。
ソビエシュは寧ろラスタの愚かな行動は残される子供二人に影響があると言った。両親ともに重罪人となったら子供も奴隷になることだろう、と。
冷たい目で状況を伝えるソビエシュにラスタは震える。ラスタ自身はどんな状況になろうと、自分の子供を不幸にしたくはないと思っていた。
「この野郎!クソ皇帝!お前はエルギ公爵より悪者だ!!」
そう言い放ち怒るラスタを背に、ソビエシュはドアを閉めたのだった。
ラスタのいる部屋からは叫び声と嗚咽が漏れ聞こえたのだった。
続く。
ソビエシュもいよいよ真剣に目が覚めたようですね。
ラスタは本心で自分はそこまで問題がないと思っているようです。
これまで本当に色々してきたのにね。罪のない人まで殺めたりしたのは本当に衝撃的だったな。
確かに奴隷に生まれたのはラスタに非がないけど、、それ以外は…。
さて、次回はラスタの裁判でしょうか。
*
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