LINEマンガで連載中の『再婚承認を要求します』の原作、韓国小説の翻訳ネタバレを記載。
端折ってまとめて書いているので、全体的に伏線漏れあり。ご了承ください。
過去の翻訳はこちらからどうぞ!
237話 子供たち
この世の苦しみを全て吸収し、自分の体に入れた感じだ…鳥はなぜ卵で生まれてこないの?
ナビエは出産の痛みに耐えかね、そんなことを考えていた。
妊娠をしたと分かった時は卵を産むことを恐れていたが、陣痛を経験すると、卵で産む方が何百倍もマシだと思った。そのくらい痛かった。
そして、順調に赤ちゃんが降りてきて、出てくる頃だった。
「双子です。陛下!双子です!」
医師がそのように叫んだので、ナビエは動揺した。
無事出産が終わり、臍帯を切った後、医師と産婆の二人が赤ちゃんを1人ずつ抱き抱え、ナビエに見せた。赤ちゃんはすでに泣き止んでいた。
「皇后陛下、おめでとうございます。本当に愛らしい皇女様と皇子様の誕生です」
そう告げた産婆はナビエに皇女を渡した。
皇女様です、と言っていた。そういえば、早産なのでまだ名前すら決められていなかったのだ。
赤ちゃんは早産ではあるものの、2人ともとても元気だ。
丸くて小さな顔。しっかりと大きな目、小さくしまった口、赤い頬、小さな鼻。
まだ赤ちゃんも準備も終わっておらず、服も用意していない。赤ちゃんのための道具もまだ完全ではなく、勉強も最後まで終わらなかった。
それなのに赤ちゃんは産まれてしまった。
乳母さえまだ決めていない…とナビエは思った。
赤ちゃんはしっかりしていた。
肌はしわしわできれいではないと思った。鼻は高いが、他の部分はあんまりだとナビエは感じていた。
その思いを産婆と医師に伝えると、皆笑い合い、何の問題もありません、と伝えた。
そしてもう1人の産婆が今回は皇子を見せ「皇子様もご覧ください、陛下」と告げた。
子供の頃、ナビエは自分の肖像画を見て、私は本当に愛らしく綺麗だと思っていた。
だが、この子たちは一体誰に似ているのだろう。ハインリか?
その瞬間、ナビエが腕の中で抱いていた皇女が目を突然丸く開いて、まっすぐ見つめた。抗議をしたいというような目だ。
その瞳の色は、澄んだ輝く緑色だ。とても愛らしかった。これはナビエの瞳と同じ色だった。
ナビエは皇女と自分に似ているところを見つけて感動していると、今度は皇子が何やら不思議な声を出した。
振り返ってみると、手を取り出し、ナビエに向かって指を出しているように感じた。
「皇女様だけ抱いておられるから、皇子様が嫉妬したようですよ」
そう産婆が言った。
ナビエはその言葉を聞いて、今度は皇女を産婆に渡し、今回は皇子を抱きしめた。
皇子の瞳を見ると、さっきと違う色。まさに小さなハインリーだった。ナビエが愛するハインリーの神秘的な紫色の瞳を持っていた。
それを見て思わず涙を流す。ナビエとハインリー、それぞれ似ているところを持ち合わせる2人が奇跡のように思われたのだった。
***
「世界にこんなにきれいな赤ちゃんがいるなんて!クイーン、見えますか? 天使ですよ、天使。
」
ナビエが寝て起きると、部屋の中はきれいに整理されていた。
暖炉の前にはハインリーがいて、両手に赤ちゃんを同時に抱えて、そのように呟いた。
「危険です」
彼が赤ちゃんを落とすと思い、ナビエは皇女を取り上げた。
するとハインリーは腰をかがめて、ナビエの額にキスをした。
そして、出産中隣にいることができず、申し訳なかったと詫びた。
ナビエは「大丈夫です。私もこんなに早く出産になるとは思いませんでした」と答える。
もちろんナビエの両親も知らなかった。数日後にはこのニュースが伝わるはずだが、どんなに驚くだろう。両親が東大帝国に戻るたびに何か大きな出来事があると嘆くかもしれない。
ハインリはずっと、赤ちゃんを見つめて、どこから見ても天使だと褒めたたえていた。
続けて「クイーンの目にはそう見えませんか?天使そのものです。生まれてすぐこんなにきれいな赤ちゃんは初めて見ました」と言う。
「生まれたばかりの赤ちゃんは、もちろん私も初めて見ました。」と普通に返すナビエ。
ハインリーは赤ちゃんたちを何度も見て、眉毛もきれい、目もきれい、鼻もきれい、鼻の穴もきれい、唇もきれい、爪もきれい…でも、皇子には秘密ですが、クイーンに似ているから皇女がさらに特別綺麗です」と言った。
しかし皇子に申し訳なく思ったのか、ハインリーは皇子を抱きしめ、世界で一番きれいだと皇子を褒め、頬擦りをしたのだった。
さらにハインリは褒め続ける。
「クイーンは奇跡です。私はクイーンのように愛しい存在がこの世界に二人は存在できないと確信していましたが、クイーンは私の幸せを三つにしました。」
ナビエは昼間には恥ずかしい告白だと思い、ハインリから目を逸らして皇女の顔を見る。すると、今度は自分でも本当に天使のように思えたのだった。
***
国民はみな赤ちゃんを見たいと言っており、貴族たちはもちろん、首都や近隣の国民も贈り物を届けに来ていると言う。
侍女たちがこのようなニュースを伝えてくれた。
名前もつけなければならないし、乳母も呼ばなくてはならないのでそれどころではないナビエ。
ふと頭を上げるとジュベール伯爵夫人の腕に抱かれた皇女が見えた。皇女は目をキョロキョロさけていた。
無意識の動作だが、その姿は本当に賢く見えた。
一方の皇子はちょっと鈍臭くみえる。生まれたばかりの赤ちゃんなのに、ふたりの個性があるな、と思った。
顔がハインリと似ていても、中身は違うようだ。
そんなことを考えていると、ドアを叩く音が聞こえ、ハインリーが入ってきた。
*
入ってきたハインリは、侍女たちのに伝えて、侍女たちから赤ちゃんを受け取り、彼女たちを退出させた。
不思議に思うナビエ。
すると「クイーン、赤ちゃんは私が連れて行きます。そろそろ新しい姿に変わる時間です。」と言い、二人を共同の寝室に連れて入った。
ハインリはベッドの隅に置いた巣を引っ張り、真ん中に置いた。
そしてまず皇女をベッドに置き、そのお腹を指でトントントンと叩いた。
すると驚くことに皇女がうずくまったと思うと、すぐに雛に変身した。
ハインリは皇子も同じようにして、鳥の姿に変えた。
そして、ハインリもクイーンの姿になり、二羽を上手に巣の中に上げた。
赤ちゃんの鳥たちは突然騒々しくなって鳴いた。
「私の赤ちゃんは…鳥になった…?!」
分かっていたこと。それでもナビエは衝撃を受けた。夫が変化する姿と子供たちが変化する姿は感じが全く違った。
雛たちは、短い翼を動かしながら巣の外に出ようとする。それをクイーンは頭をトントンと動かして、雛を巣に押し込むと、自分の胸で赤ちゃんを包み込んだのだった。
*****
その頃の東大帝国。
ナビエの元夫ソビエシュは、アンとの再会現場にに行った帰りだった。
もともとソビエシュは再会するシーンを直接見る気はなかった。ルベティがすぐにその子供を連れて行くだろうと思っていたのもある。
だが、ルベッティ、ナビエ、アン。三人の関係の中に記憶を探す糸口がある。そう思ったので、再会に立ち会うことにしたのだ。
当日の午後5時に、ルベティは馬車に乗って去ると言っていた。ソビエシュにとって、今がその子供とルベティと共に会うことができる最後の機会だった。
ところが、ルベティに最後の挨拶を受ける前。「陛下」する小さいが凛とした声が聞こえた。
ソビエシュは歩きを止め振り返ってみると、そこには子供がいた。
そこにいたのは、目尻が下がっていて、姿勢も悪く、痩せた子供だった。
「誰だ?」
ソビエシュはその子が誰だかすぐに分からなかった。
すると子供は自分はシャルルだと言う。
ソビエシュは驚いた。彼が記憶するシャルルの印象は、活発な子供だった。顔は正しく覚えていなかったが。
ソビエシュは急に不安になった。
自分が結婚するまでに過ぎないが、臨時としても皇位継承権者としてふさわしくないと思った。
色々考えつつも一旦表向きの笑顔をし、元気にしていたかと声をかけた。
だが優しくかけた声とは裏腹にシャルルはボソボソと返す。
それでもソビエシュは笑顔を絶やさず、彼に優しく接した。
✳︎
そして、ルベティとその甥が待つ部屋を訪ねた。
「陛下」
ルベティは椅子に座っていたが、ソビエシュが入ると立ち上がった。
しかし彼女とその甥を見たソビエシュはなぜか立ち尽くし固まってしまった。
「陛下?」
ルベティは不思議に思い声をかけると、倒れそうになるソビエシュ。
後ろに控えていたのカルル侯爵がなんとか支え、近くにソファに座らせた。
ルベティは驚きを隠せず、両手で口を塞いだ。しかし、ルヴェティの瞳はカルル侯爵に向いていた。
というのも、先ほどカルル侯爵はソビエシュが倒れるのを見て、何かを期待する表情を見せた。
彼はソビエシュ皇帝の腹心ではなかったのか…?と混乱した。
その視線を感じたのか。カルル侯爵は突如彼女に視線を投げた。
ルベティは慌てて視線を逸らし、恐れたふりをして、見なかったことにした。
ルベティに抱かれてきた甥のアンは意気消沈していた。元々落ち着いていられない年のはずだが、この渦中にアンはおかしくなったようだ、とルベティは思った。
アンは非常に静かだった。突然見知らぬところに来て怖かったはずだが、そのような行動すらなかった。
アンは魂を抜けた人形のようだった。
しかし今はアンについて考える時間はない。ルベティは医師を呼ぶべきではないかとカルル侯爵に聞いた。
✳︎
その時だった。ソビエシュが突然涙を流した。
「陛下?陛下!」
今回はカルル侯爵も驚いた表情で皇帝を見た。ルベティはアンを引き寄せ抱き締める。
皇帝が涙を流し、 顔を隠さず突然「赤ちゃん…」と呟く。
見ている人間からすると、とても怖い後景だった。
ルベティは、皇帝がアンを見て、理由は分からないが、盗賊たちの手によって殺された娘を思い出されたのだ…と気づいた。
本物の娘ではないと明らかになったはずだが、そんなに悲しいのか…と不思議に思うルベティ。
しかし、カルル侯爵がアンを連れて行けとルベティに命じないのはさらに不思議なことだった。
✳︎
そしてソビエシュは突然、頭を上げた。彼の表情は驚くほど冷たいものだった。
✳︎
続く。
ナビエのところは双子でしたね!
赤ちゃんはシワシワな生き物なのに、私に似ていなくて可愛くないと思うナビエ、面白すぎます(笑)
赤ちゃん二羽が鳥になるのは誰もが衝撃だと思うけど、本当それなら卵で生まれて欲しいですよね!!!
ナビエ、どんまい。
*
そしてソビエシュ。
また人格が入れ替わったのかな???
そういえば、グローリーエムは元気なのでしょうか。
*
この続きの238話はこちらから
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