LINEマンガで連載中の『再婚承認を要求します』の原作、韓国小説の翻訳ネタバレを記載。
端折ってまとめて書いているので、全体的に伏線漏れあり。ご了承ください。
過去の翻訳はこちらからどうぞ!
238話 変化
一瞬で人の表情はそんなに変わるものだろうか…。ルベティは唾液を飲み込み、皇帝を見つめた。ソビエシュの目がルベティに向くと彼女は不気味に感じた。
しかし、彼の灰色の瞳は数秒で目をそらし、ふと糸が切れた操り人形のように横に倒れた。それをカルル侯爵が慌てて受けとめた。
この状況を見てしまったルベティは、カルル侯爵が自分と甥のアンを今すぐここから追い出すだろうと想像した。
*
しかしカルル侯爵は予想外のことを話した。
「ルベティ嬢と甥のアンの送りは後回しになります。この状況ですので」
見送りを後回しに???今は去ってはいけないのか?ルベティの頭はハテナだらけ。
反応に困り抜け出そうとするルベティに対して、カルル侯爵は「急いで帰らなければなりませんか?どこに行くつもりですか?」と止めた。
「それは…」
もちろん、彼女は急いで帰る必要はなかった。しかしナビエも行動に注意するように言っていた。
「できませんか?」カルル侯爵はそのように尋ねた。考えを整理しきれず、ルベティは慌てて答えた。
「じゃあ、もう何日数日は待ちます」
ほんの数日だけ滞在するだけ。このくらいは大丈夫だろう、とルベティは自分を説得した。
*
それはソビエシュのためであだった。
元々、ナビエを追い出したソビエシュ皇帝がとても嫌いだった。しかし今はどちらでもなかった。
彼の助けを借りてアンを見つけることができたので、ここを去る前に少なくともソビエシュ皇帝にお礼を伝えたかった。
***
数時間後、気がついた(昼の)ソビエシュ。彼はある時点から、自分の記憶が消えていることに気づいた…。
*
朝、妖精のような子供を見た。その子供の顔は見慣れていたのに、見ると心臓を掴まれるような痛みを感じていた。
――それはグローリーエムを思い出したからだ。
王女として生まれたが奴隷の子となり、結局死んだ子だという。19歳の昼のソビエシュもその話は聞いていた。
グローリーエム。「栄光」という意味の名前を持っていたが、あまりにも短くその生涯を閉じた。
その記録を見ながらもソビエシュは自分の感情が分からなかった。
私の赤ちゃんではないと思った子供。ラスタと言う女性が自分を騙し、別の男性との間に身ごもった子供だった。
*
しかし、そこを最後に記憶が途切れていた。気がついた時、自分は寝室に横たわっていた…。何時間もの記憶がなくなっているのだ。
しかも泣きはらしたせいか、瞼が重い。ソビエシュは顔を包み、蹲った。
*
誰かが窓を叩いた。ソビエシュは驚いて振り返る。
すると窓の向こうに真っ赤な姿をした子供がいて、じっとこちらを見つめていた。子供は目が合うと、笑いながら口をあけた。
ドキドキと心臓が高鳴る。
そこでコンコンとノック音がなり、ソビエシュはドアを振り返った。
今度はルベティが訪問してきた、という知らせだった。
*
ソビエシュは心臓を落ち着かせようと胸を抑えながら、窓を開けた。…しかし窓の向こうには誰もいなかった。心拍数は落ち着くことは無かった…。
なので、彼は扉に向かって「入りなさい」と指示したのだった。
*****
部屋に戻ったシャルルは、入るや否や乳母に向かって走って行き、泣きながら乳母に抱きついた。
乳母はシャルルを包み込み、こう聞いた。
「どうしました?宮殿を見に行くと、ピルヌ伯爵は何と言いました?」
シャルルはソビエシュから宮殿に呼ばれたが、乳母一緒にでないと行かないと言って、結局乳母を同行させていた。初めは宮殿に行きたくないと駄々をこねたシャルルだったが、乳母が一緒に行くことになるとやっとのことで自分の荷詰めをしたのだった。
*
シャルルは内緒の話をしたいと乳母に伝え、周囲に人がいないことを確認して、乳母を浴室に連れて行きドアを閉めた。
それでも不安なのか、彼は乳母にこう耳打ちをした。
「皇帝陛下の様子がおかしいです」
これは乳母にも予想外の話だった。ソビエシュ皇帝は幼い頃から麗しい外見と威厳のある態度で国民にとても人気があった。彼女もまた皇帝を崇拝する国民の一人だった。
リールテアン大公とソビエシュ皇帝は年齢差も大きくなかったので、比較することも多い。近くで見るリールテアン大公より、ソビエシュを崇拝していた。
最近の色々な事件があってもなお、そのような気持ちだった。
しかしこれにシャルルは反論する。
「いいえ、本当に変です。一人で変な方向を見て、色々呟く…」
乳母は笑い声を上げて、シャルルの肩に手を添えた。
「独り言を言う人が世の中にどれだけいると思いますか。今は内情を打ち明ける皇后がいなくなり、別の国に行ったから…そうするしかないのでしょう。」
それほど深刻な話ではないように思えたが、それでもシャルルは泣きながら乳母の腰に抱き着き、帰りたいと駄々をこねた。
乳母はため息をついた。シャルルは愛らしい性格だったが、優柔不断で決意がすぐ揺らぐ性格だった。今日だけでももう9回目、帰りたいと言い出している。
しかし乳母の立場ではシャルルが言うことをすぐに聞いてあげることはできない。今彼は皇位継承権の最上位者なのだから。
するとシャルルは「皇位継承権を放棄したらここから出られますか?」と聞いたのだった。
*****
その頃、西大帝国ではナビエが名付けを悩んでいた。
ナビエは副官に指示して、色々な国の辞書を取ってもらうように言った。
彼女は頭の中できれいな名前を色々浮かべて考えていた。意味ある名前が良いのか、呼びやすい名前が良いのか。よくあるが、貴族的な名前が良いのか。
子どもたちの名前を似せるのが良いのか、どうか。簡単に決められることではなかった。
ハインリに相談したが彼もまた悩んでいるようだった。どうやら皇女の瞳の緑色にも惹かれて、それに関連した名前にしようとも思ったが、決まらない。そしてもちろん皇子のことも愛している訳で…中々進まなかった。
もう少し正確に言えば、ハインリーは自分が皇女の名前を建てるから、恥ずかしがり屋の名前を作ろうと言った。
夜明け頃、ハインリはナビエに子供たちをしばらく見ると言って、巣に行った。子供たちを巣に入れて、くちばしで移して食べさせていた。
「それは何ですか?」
ナビエが聞くと、ハインリの種族が赤ちゃんの時に食べるものらしい。(離乳食似ている)
何だろうと思うナビエだったが、それは今は問題でははい。赤ちゃんの名前をどうするかだ…。
***
ナビエはかなり回復したが、まだ体を自由に動かすことができなかった。夕食を食べるとすぐに寝室に行き、暖かくい毛布に下半身を入れた。
その間、ジュベール伯爵夫人と侍女たちが赤ちゃんを見てくれていた。
まだ乳母は手配できていない。そのため、侍女たちはナビエが寝れているのかと心配していたが、侍女たちが十分に見てくれているし、加えてハインリーも父として手厚くケアしてくれているので、心配無用だった。
*
侍女たちが出ていった後、ナビエはハインリを見習って両手に赤ちゃんを持ち、共用の寝室に入った。ハインリーはすでにクイーンになっていて巣に座っていたが、ナビエが入ってくると翼を広げて巣を空けた。
赤ちゃんの鳥となった二人をハインリの巣に入れる。すると彼は翼で子達を包み、幸せそうに鳴いた。
***
赤ちゃんたちはハインリが沢山与えるエサを食べて眠っている。
ナビエは子供たちを巣に入れるのを心配していたが、そんな心配は不要だったと思っていた。そのくらい赤ちゃんたちは巣で安らいで見え、自分の子供たちは地上の天使と思えた。(ハインリーの言葉言葉通り)
赤ちゃんが眠ったところを見ると、ハインリは人間の姿に変わり、すぐにナビエにキスをした。
*
笑いあう二人。
ハインリは、皇女を見るたびにナビエの子供のころを見ているように感じると言う。
そんなハインリに、皇女の名前は決めたか?と聞くナビエ。それに対して、ハインリは決めたと言う。
”ラルス”——それは君主を意味する言葉。そう名付けたそうだ。
「クイーンは?名前をつけましたか?」ハインリはそう尋ねた。
”カイサ”。とっさに考えた名前だったが、ぴったりのように思えた。
これも”ラルス”と似た意味を持つ。
この名前は双子の二人にピッタリだと思えた。
*****
翌日。
シャレット姫が宮殿を訪ねて来て、双子の赤ちゃんに祝いの言葉をかけた。双子はナビエ・ハインリにそれぞれ似ていると言う。
ナビエは、シャレット姫と兄・コーシャルの婚約が難しいことについて…いつ話すかと悩んでタイミングを見計らっていた。
ナビエは彼女に近寄り、その話を切り出そうとした瞬間。カフメン大公が現れた。
*
ナビエの部屋に近づき、ドキドキしながら会いに来ていたカフメン大公。彼はナビエに似た子供を見たいような、見たくないような気持だった。しかし、ナビエがハインリと一緒にいる姿を見ても、以前ほど苦しい気持ちになることはなかった。
それはナビエが幸せそうだから――。そう考えていた。
彼は意を決してドアを開けた瞬間。驚くような心の声が聞こえていた。
【とってもセクシーな男。彼は私を追ってきたのかしら?】
それはシャレット姫の心の声だった。その後も彼女の様々な心の声が聞こえて来た。
驚いて立ち尽くしてしまう、カフメン大公。それを見たナビエはどうしたのかと尋ねる。
カフメン大公には、ナビエの【カフメン対空とシャレット姫は知り合いなのかしら?】そのような声も聞こえて来た。
*
カフメン大公は気を取り直して、双子の赤ちゃんをのぞき込む。
すると…【あの男。赤ちゃんを利用して、私に会いに来るなんて!】そんな声が聞こえてきたので、彼は止まってシャレット姫を悲しい目で見つめた。
するとシャレット姫の心の声がさらに聞こえる…。
【私に恋心を抱いても無駄ということを知っているのかしら。私が結婚したらどうするの?この前は変な言いがかりをつけて話しかけてきたけど…おまけに、お父さんは”お前が結婚しないと世界平和が壊れる”とか言ってきたし…。】
✳︎
続く。
ソビエシュはまたグローリーエムの幻影を見ているのでしょうか。
そして、ナビエの双子の子供の名前が決まりました。カッコいい名前!
そして、シャレット姫とカフメン大公に何か進展があるのでしょうか?
*
この続きの239話はこちらから
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