LINEマンガで連載中の『再婚承認を要求します』の原作、韓国小説の翻訳ネタバレを記載。
端折ってまとめて書いているので、全体的に伏線漏れあり。ご了承ください。
過去の翻訳はこちらからどうぞ!
243話 一つ失って一つを得る
ナビエのこの発言に側近たちは目が点になった。
皆が不安そうなので、ナビエは詳しく説明することにした。
「連合は西大帝国を孤立させる計画を立てています。しかしこの計画は、大半の国が連合側と手を組まなければ効果がありません。
連合側も西大帝国と戦争を望んでいるわけではありませんが、もしそうなった時、東大帝国はおそらく、西大帝国の攻撃には加担しないでしょう。こちらに加勢するかもしれません。
そうなった場合、困るのは連合側。なので、戦争を始める前に連合側の勢力拡大を目論むはずです。
連合に従うであろう国々に事前に取引をしておきましょう。従わない国家があることを示せば良いのです。」
ナビエは引き出しから小さな地図を取り出し、テーブルに広げた。
そして、各国を指さしながら続けて説明する。
「シャレット姫のいる、ホワイトモンド」
「エルギ公爵のいる、ブルーボヘアン」
最後に、地図の端に載っている国を指した。
「ルイフト。こことも連携を取りましょう。」
しかし、側近たちは依然として暗い表情で質問する。
「ホワイトモンドとブルーボヘアンは可能と思いますが、リップは可能でしょうか?」
ナビエの意図としては、”3国もの国が連合側に付かなかった”という事実を突きつければいいだけなので、それも問題無いという見解だった。もちろん、名前借り状態になるのではなく、実質的な貿易成果を誇示する必要がある。それは、お金で解決できるだろうと思っていた。
連合側にハインリーが捕えられていて彼が戻れないのなら、彼らを圧迫して対応してハインリを取り返すのが最善の策だと考えているのだった。
***
ナビエは、ホワイトモンド・ブルーボヘアン・ルイフトがスムーズにこの提案を受け入れてもらうために、各国大使を呼ぶ前に戦略を考えることにした。
ルイフトはカフメン大公が大使である。元々、月大陸連合所属ではないので大丈夫と思われる。だが、ブルーボヘアンとホワイトモンドはこちらと手を繋むのは容易ではないかもしれない。
ナビエはラリとカイを連れて遊びながらも、ずっとそのことが頭から離れなかった。
*
ところが、結論を出す前に意外なことにブルーボヘアンからエルギー侯爵がやってきた。
「何のことを言っているのですか?」
彼の訪問よりも、ナビエはその発言に驚いた。
「ハインリは何も言わなかったのですか?」
どうやらエルギ公爵はハインリに自分がここに来ると伝えたようだ。色々あったものの、エルギ公爵はハインリと深い親交があり、彼を助けてくれる存在だった。
*
ナビエはエルギ公爵を別の部屋へ呼び、ハインリが消えたという事実を説明した。
エルギ公爵はこの話を聞くや否や、考え込んで表情が固まった。
そしてエルギはハインリに送った伝書鳩が帰ってきたので、行方不明になったのはその後だと教えてくれた。
彼は元々ハインリに依頼事があってきたそうなので、一旦ナビエが聞く事にした。
正直なところ、ナビエはエルギ公爵がハインリと友人でなければ、彼とはそこまで接点を持つつもりはなかった。
しかし、西大帝国の孤立を防ぐためには、ブルーボヘアンの王族であるエルギ公爵の力が必要だった。何かきっかけになってくれるかもしれない。
彼は、「月大陸連合が最近どのような動きをしているかご存じですか?」と聞いてきた。連合側は自分たちの勢力を拡大するため、強大国二国を潰そうと目論んでいて、ブルーボヘアンの王は連合側の味方になる模様ということだった。
ナビエの伝えたかった話より先に、エルギ公爵からの話があった、しかもあまり良くない方向で…。
エルギ公爵が色々話をしてくれるが、ちゃんと耳に入ってこなかった。ナビエは額をつかんで倒れそうになったので、彼が大丈夫かと尋ねた。
大丈夫と答えたナビエだったが、悩みは深くなった。
*
結局、ブルーボヘアン、ホワイトモンド、ルイフトと手を組んで連合側に対抗する計画は、ブルーボヘアンとホワイトモンドの大使を呼ぶ前に崩れた。
再度ナビエは考え込む。
ブルーボヘアンが駄目ということは、残ったのはホワイトモンドとルイフト。二国だけでは『連合に対抗する』とは言えないだろう…。
それでも一応ルイフトに連絡することにした。
*
ナビエが新年会の返事についてどのようにするか、(建前上だが)考えてようとした時だった。
窓から下の鍛錬場で、剣を振るマスタースが見えた。彼女が振り下ろす剣はスピードが速く驚いたが、どこか危険さを孕んで見えた。表情が硬く見えるからかもしれない。
それは兄・コーシャルとの関係がそうさせているのかと思うとナビエの心が痛んだ。マスタースと話をしてみようかとも思ったが、どのようにするのが良いのか分からない。
兄と似た自分が果たして彼女を慰めることができるのだろうか。下手に慰めたら余計傷つけることになるのではないか。うまく解決できない話だった。
***
ナビエは悩みながら外を歩いていると、今回はエルギ公爵が現れた。彼は思いつめた顔で歩いている。
そして、更にエルギ公爵の方へ歩いていく女性…ルベティが見えた。
ナビエは思わず驚いた。
***
ハインリが行方不明であることは、エルギ公爵にとっても困った話だった。
連合側に対抗するための問題を解決しに行って、行方不明になったという。しかし、ナビエがその具体的な背景を説明しないところを見るに、何か秘密にしなければならない問題があるようだと気づいていた。
エルギ公爵は少し考えて、「魔力減少を起こした証拠を回収に行ったのだろうか?」と気づいた。ナビエの様子から推察すると、それが出しいと思えた。
だが、ハインリがどこに失踪したのかは推測できなかった。彼が知っているハインリはそもそも行方不明になる人だから。
*
その時だった。向かい側から誰かの熱い視線を感じたエルギ公爵。
下を見て歩いていた彼は、頭を上げるとそこには若い女が立っていた。彼女は東大帝国にいた時に一度遭遇した女性だった。
(ルベティのことです!)
ルベティのことは顔は知っていたが、名前は知らなかった。敢えて知っているふりをする必要も無いと思い、知らない人に遭遇したときのように言わずに笑いながら会釈だけした。
すると通り過ぎたところで、彼女は思いがけない言葉をつぶやいた。
「私はこの世界でラスタが一番嫌いだったけど、もう一人の嫌いな人が現れた」
何の話か分からないエルギは止まって、振り向いた。
振り返った先にはルベティがいた。彼女は拳をぎゅっと握って彼を見つめていた。
「あなたのことが嫌いです」
ルベティは突然そう言った。
そう言われてもよく分からない。
面倒な気持ちもあったが「私に言っていますか?あなたはどなたですか?」と返した。
すると、「ルベティ・リムウェル」と返事が。
名前を聞いて、記憶が蘇る。ラスタが嫌っていて何度も聞いた名前だった。彼女はローテシュ子爵の娘だ。
神殿で血液検査をする時、エルギが甥を連れてきたことをどこかで聞いたのか。
「ラスタさんがその話を聞いたら面白がりますね。地獄へ落ちたら彼女に伝えますね。」
エルギはさりげなく話そう言って、立ち去ったのだった。
ルベティは遠ざかっていくその後ろ姿を怒りの眼差しで見つめていた。
*****
ブルーボヘアンが連合の側についたというニュースの後には、ルイフトの行商人たちが港に到着したというニュースが伝えられた。
行商人たちが首都に戻ってくる際に、ナビエは宮殿から出て彼らの馬車が入ってくる場所まで直接迎えに行った。
ブルーボヘアンがこちらに付かない以上、味方になる確率が最も高いルイフトへの配慮という目的だった。そこにはカフメン大公もいた。(彼は交易の成果が気になって出て来た様子だが)
すると想像よりもはるかに多い数の馬車が到着したようだ。
*
そして行商人の持ってきた商品の中身を見て宮廷の皆が感嘆した。
馬車にいっぱい詰められたの珍しい柄の絨毯、様々な形の金銀などの宝飾類、好奇心を刺激する華やかな家具、氷の魔法で凍らせ届けられた食材・・・・。
まるでおとぎ話のような光景だった。
自国が損をしたのではとカフメン大公は少し心配していたが、ナビエは行商人から今回の交易が大成功だったことを聞いた。ナビエがルイフトに関心を持ってくれたおかげだと言い、ルイフト王室も交易の手助けをしていると言う。
ハインリが行方不明になって以来、初めて少し笑うことができた日だった。カフメン大公も一緒に笑った。
*
翌日。
昨日はカフメン大公と使節団が来て色々話せなかったので、改めて話をしようと思ったナビエ。しかしカフメン対空を見つけられなかった。彼の秘書によると、今南王国の大使が来て話をしていると言う。
昨日の行商人の交易品を見て、ルイフトに話をしたいという大使が沢山現れたそうだ。
エキゾチックで見知らぬ香りのものたち。人々の好奇心を刺激して、人々の購買意欲が増すだろう…と考える国が増えた様子だった。
*
ナビエは他の国の大使と話をしているところへ割り込めないから、戻ろうとした時だった。
ルイフトの秘書が「交易に関しては、西大帝国を通すので心配しないで欲しい。」と伝えて来た。
ナビエはお礼を伝えて去ったのだった。
*
ブルーボヘアンがこちらに付かないことを懸念していたが、ルイフトとの交易がうまく行っていることは嬉しかった。
しかし側近たちはこの話を伝えても依然として心配した顔だった。
彼らは、ルイフト(火大陸)が西大帝国(月大陸)としか交易しないのであれば、月大陸の他の国は火大陸の他の国と交易するのでは?ということを懸念していた。
しかしナビエの考えではそうはならない。火大陸から月大陸に友好的な国はルイフトだけだったからだった。
*
続く。
今回はナビエの手腕が問われています!の回ですね。
あと、エルギ公爵とルベティが直接対面!の回。
この交易の色々な話は今後どう関係してくるのか分からなかったので、一応細かく訳しました。
…が、途中でどうでもよかったら悲しい…と思ったりもしましたw
*
結局、ルイフトを味方につけられるのか、分からないところで終わりましたね。
次回に持ち越しですね。
*
この続きの244話はこちらから
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