LINEマンガで連載中の『再婚承認を要求します』の原作、韓国小説の翻訳ネタバレを記載。
端折ってまとめて書いているので、全体的に伏線漏れあり。ご了承ください。
過去の翻訳はこちらからどうぞ!
245話 泣いているハインリ
ナビエは少しの間ラリを抱いていた。東大帝国大使が宮殿の中に入り、夜の部屋に移動する時間を作るための工作だった。
そして、接見室にエインジェルを連れて行った副官が帰ってきたので、「赤ちゃんがあまりにも泣くので、行くことができないので待って欲しい」とエインジェルに伝える様に言った。
副官は泣いているラリを見て、慌てて出ていった。
*
また少し時間が経過した後、ナビエは再度戻ってきた副官に別の指示を出す。
「赤ちゃんが泣きを止まないので、ラリを連れて行きたいです。ですが、接見室は部屋の中が涼しいので、心配です。夜の部屋に来てください、とお伝えできますか?」と言った。
副官はラリの顔を今回も見て、また慌てて出ていった。
*
そうしてナビエはようやく、ラリを連れて夜の部屋の中に入った。
そこには既にエインジェルが入っていた。
「皇后陛下。お元気でしたか。」
随分待たされたはずなのに、彼は丁寧に挨拶をしてきた。とても月大陸連合側の人間とは思えない平穏な表情で。
ナビエは何事も無かったかのように「おかげさまで」と返した。
エインジェルは双子が産まれたと聞いたと言い、ラリの顔を見てナビエに似ていると言った。
ナビエはエインジェルが赤ちゃんを見ている時、部屋の傍らに隠れた東大帝国大使がいることをこっそり確認した。
その後も20分ほど、エインジェルは赤ちゃんの話を続けたので、ナビエもそれに付き合った。
*
暫くすると、ようやくエインジェルはさりげなく本題に入り始めた。
「皇后陛下は厳しい母親になりそうですね。ルイフトとの交易を独占して、小国を圧迫していると聞きました。」
ナビエは、「大国であれば、同じ大陸の小国たちを守るのも仕事です。」と返したがエインジェルは「守りたいのか、いじめたいのか、どちらですか?」と答える。
ナビエは言いたいことはぐっとこらえて、冷静に彼を伺う。
するとエインジェルは、「誤解を恐れずに申し上げると、私たちが注視しているのは東大帝国であり、西大帝国ではありません。だからこの点を念頭に置いて、これからの話を聞いてください。」と言い始める。
しかし今彼の言うことは嘘であるとナビエは知っていた。既に彼は東大帝国に行き、似たような話をしたとソビエシュから聞いていた。エインジェルはとても賢いが、ソビエシュがナビエにその話をしたことは推測できなかったようだ。
*
2人は表面上は笑顔で会談を続ける。
エインジェルはプレゼントがあると言い始めた。賄賂ではなく、”友情の証”らしい。西大帝国との友情を守りたいという意味だそうだ。
こういう際に贈るプレゼントは普通のものではないと思い、受け取らないとナビエは答えようとしたが、その前にエインジェルが先に話始めた。
「鳥かごの中に入った黄金色の大きな鳥です。金色の羽が美しいのです。」と言う。
この話を瞬間、ナビエは思わず口を噤んだ。
金色の羽を持つ鳥大きな鳥。
ハインリだろうか。
エインジェルが合図をすると、ドアが開いて第四騎士団の騎士がケージを持って入ってきた。しかし鳥かごの中は布で覆われて見えない。
ナビエは立ち上がって手を伸ばすのを必死に耐える。
おそらく私の中に入ったのはハインリではない…彼がまさか最初からクイーンを連れているはずがない…ナビエは思いこむ。
しかし確信は持てないため、グルグルと悩むナビエ。ハインリが変身するシーンをエインジェルが見てしまい、拉致してケージの中に入れた場合はどうなるだろう―――思わずめまいがする話だった。
すると、騎士持つ鳥かごの布をエインジェルはめくって出た。
ナビエは必死で鳥かごの中の鳥がどのような鳥か(ハインリなのか?)見つめた…
*****
一方、シャレット姫は偶然カフメン大公と遭遇し同じ場所でひと時を過ごしていた…。
(まだ会話をしているわけではありません)
ルイフトの伝統的な衣装を着ているカフメン大公。すでに同じ場所に来てから1時間を超えていた。
しかし未だにシャレット姫からは『びっくりだわ。やっぱり砂漠の国の衣装は強烈だわ。我が国でもあんな服が流行ってほしいわ…』という心の声が聞こえて来た。
実際、シャレット姫にとって大公の格好は刺激でドタイプすぎて、本が読めていなかった。
結局、姫は本を置きに図書館に行くことにした。集中力を回復するためにも移動しようと思った。
*
シャレット姫は庭園を通って、図書館へ向かった。そして、訪問者のリストに名前と身分を書いて入る。
西大帝国には面白い本が多く資料も膨大で、姫はこの国の図書館を心底を楽しんでいた。
*
そして姫は目当ての本を探したその時…
「え?」
また本棚越しにカフメン大公が見えた。歴史コーナーと心理学コーナーの間に。
彼は通り過ぎただけだったが、例の強烈な衣装は見間違えるはずがなかった。
シャレット姫は思わず驚いて口を開ける。
そして『また私を追ってきたの?いや、違う彼が先にいたのか?』と思い、はやる気持ちを抑えられなかった。
思わず首を横に振る。しかし、『運命…?運命とはまさにこのこと…?』と思い悩むのだった。
*****
そして、ナビエ、エインジェルとの対話の続きである。
布が外れた鳥かごから現れた、紫色のリボンをした黄金色の鳥。静かにかごの中にとまっていた。
しかしナビエは気づいた。その鳥は瞳が紫ではなかった。一見ハインリと似ているが、ハインリではなかった。
実際は、ハインリはいるはずがないと思いながらも少し期待していたナビエ。残念に感じていた。
ナビエはサッと表情を元に戻して、「素敵ですね。私は金色が好きです。」と返す。
この鳥がハインリでないとしても、エインジェルが何か知っていることに違いはない。黄金色の鳥に紫色のリボン。単なる偶然ではないはずだ。
ナビエの気持ちを知っているのかは分からないが、エインジェルは素直にその鳥かごをナビエに渡し、出ていった。
*
エインジェルが去り、ドアが閉まっても身を隠しているはずの東大帝国大使が出てこなかった。すぐに出てくると思ったので不思議だった。
出て来るように言うと、隠れていた大使が姿を表わした。彼は複雑な表情をしていた。
連合側は『東大帝国を攻撃する予定だから、自分たちと手を組もう』と提案して行ったのだから、大使の心が休まるはずはない。
実はナビエもそこまでエインジェルが露骨に伝えてくると思わなかったので、その点は意外だった。
(もちろん、東大帝国を排斥するニュアンスで言わなければ、東大帝国大使は気づくであろうが。)
エインジェルが露骨に言うかどうかは別として、想像通りの展開ではあった。
*
ナビエは東大帝国の大使に、エインジェルの提案を受けるつもりがないこと、連合が両帝国を狙っていると確信していると伝えた。
大使はすぐにはそのことを理解できないようだった。両帝国を敵に回すのは、連合側にとってもあまりにも過激なことで、危険な橋を渡るような話であった。
しかし、連合側は西大帝国と一時的に組んだとしたら、西大帝国を利用して魔力減少現象に関する秘密をうまく掴み、大量の魔法使いを抱える東大帝国側を出し抜くだろう。全面戦争は連合側も望んでいないからである。
ナビエは大使に「あなたにここで隠れていてもらったのは、東大帝国と西大帝国が手を組みたいという意図です」と伝えた。
この言葉に大使が激しく狼狽えた。彼だけでは判断できないという表情だった。
*
ナビエは、当初ブルーボヘアン、ホワイトモンド、ルイフトとの関係を築いて対抗する案を考えており、そこに東大帝国を巻き込む気はなかった。
だがよく考えると、東大帝国と手を組むことにもメリットがあると確信していた。
ソビエシュとハインリはお互いにいがみ合っているが、彼らは自国への愛情が深いという点では共通していた。きっと折り合いも付くだろうと思っていた。
ナビエは、「同盟ではなく、今私が提案するのは…」と話を続けた――――。
*****
宮殿を出たエインジェルは馬車に乗った。すると、馬車の近くに立っていた部下が彼に結果はどうだったかと聞く。
エインジェルは、「やはりその黄金色の鳥は、西大帝国で育てている鳥に間違いない」と答えた。
*
エインジェルはナビエが鳥を見た瞬間にした表情…瞬間的であったが彼女の悲壮な表情を見逃さなかった。
部下はその後の状況も色々聞いてくる。エインジェルは「同盟について肯定的に捉えているようだ。実際はどうなのか分からないが‥」と言った。
それを聞いた部下たちの表情は一転して暗くなった。
本当に西大帝国は一国で連合を相手にしようと考えているのだろうか、他の国と同盟を組む気なのだろうか、と皆口々に意見を出し合った。
エインジェルは「西大帝国への不信感を持っている国もある。目先の利益ではなく長期的な視野を整えなければならない。口の立つ人間を各国に派遣しよう。近い国には私が直接行く」と言った。
部下たちは、西大帝国に言った事と反するので、大丈夫かと心配する。しかしエインジェルは問題無いと考えていた。
部下たちは震えた表情をしていたが、とりあえず頷いたのだった。
実際、他の国が貿易独占問題について西大帝国に抗議することになれば、西大帝国対大陸の小国の構図になるだろう。
*
なにはともあれ。エインジェルは鼻歌が出るほどのご機嫌だった。自分が捕まえた黄金色の鳥が西大帝国の皇室が買っている鳥だと確実になったからだ。
さて、その鳥をどうするのかを考えていた。
*
エインジェルは突然、ランドレ子爵についてはどうかと聞く。
部下は「ランドレ卿は、西大帝国が魔力減少現象に関連していることを知らない様子です」と答えたのだった。
*****
その頃のハインリ。翼で檻を叩いたが出ることが出来ずにいた。
どれくらい時間が過ぎたであろうか。
囚われてからというもの、食べることもできず、体力も尽きて横たわっていた。
鳥かごの中に閉じ込められていて、騎士たちの目も常にあるため、人になって脱出することもできずにいた。
ハインリは自分の翼に顔を埋め、ナビエ、ラリ、カイのことを思うのだった。
*
続く。
エインジェル、やりますね。でも横暴なやり手で部下は追従しなさそうですね~…。
そしてナビエは更に上手。
東大帝国の二人の皇帝が愛国心が強いというところは本当にそうなので、うまく行くといいなあ。
今回はソビエシュの話はありませんでしたが、彼が正気かどうかも重要なポイントな気がします…。
*
この続きの246話はこちらから
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