LINEマンガで連載中の『再婚承認を要求します』の原作、韓国小説の翻訳ネタバレを記載。
端折ってまとめて書いているので、全体的に伏線漏れあり。ご了承ください。
過去の翻訳はこちらからどうぞ!
247話 どうしましたか?
「どうかしましたか、皇后陛下」
エインジェルは何も知らない様子で優しく声をかけてきた。
しかし、ナビエはしかめっ面をして、自分が何を考えなくてはいけないのかがぼんやりしていた。良い状況ではない。
そして、鳥かごの中ではハインリがくちばしを開けようとし、怒っているという動作だ。とはいえ、鳥かごの中で紫色のリボンをかわいらしく結ばれていたので、恐ろしさはが全く感じられなかったが。
ナビエは辛い気持ちで振り返り、エインジェルをじっと見た。
「もしかしてこの鳥をご存じですか?」
彼は目が合うと、半笑いで聞いてきた。
ナビエは人々が多国籍騎士団を敬遠する理由が分かったような気がした。彼も騎士ではあるが、ランドレ子爵のようなタイプとはイメージがかけ離れていた。
ナビエは冷静に「数日前にエインジェル卿がプレゼントしてくれた鳥と似ていますね。兄弟ですか?」と聞く。
すると、エインジェルは面白くなさそうな表情をした。ナビエが核心をつく話をしないと面白くないようだ。『私の鳥だ!』とでも言われたかったのだろうか。
絶対に振り回されまいとナビエは誓い、いつも通りの振る舞いでハインリのことについて聞く。
「先日プレゼントとして受けとった鳥も一羽では寂しいでしょう。この鳥も私にいただけますか?」
こう尋ねてすぐにハインリを見ると、辛い気持ちで鳥かごにいることが手に取るように分かった。元気はなく、ナビエも思わず涙が出そうになった。しかし、一応ナビエを知らないふりをしているのつもりなのか、近くには来ないで鉄籠に持たれて座っているだけだった。その姿が更に痛々しく、ナビエは辛い気持ちになった。
…どこか悪いところは無いだろうか。ナビエは周りの目が気になりつつも、重病にかかっていないか心配で気が気ではなかった。
するとエインジェルがやっと答えた。
「申し訳ありません、皇后陛下。この鳥は私の一番大切な鳥なんです。他の鳥ならいくらでもプレゼントできるのですが、この鳥だけはできませんね。」
このセリフを聞いたナビエは一発殴りたい気持ちになったがぐっとこらえる。
ハインリも一瞬、目をカッと開いて何かを思っている様子だったが、それ以上は疑われることを避けるためもあってか、エインジェルの方は見なかった。
ナビエはなんとも難しいと思った。どこかで閉じ込められているなら救いようがあるものの、あのように誰もが見渡せるような場所に置かれていては、中々彼を手出しができない。
籠を普段、通路に置かれていた。その通路は誰もが絶えず行きかう場所である。
しかもハインリは目立つ鳥だ。今も隣を通った他国の王族が籠を見て、こちらに「なんてハンサムな鳥なのかしら。」と言ってきたくらいだ。
*
「さあ、それでは皇后陛下。部屋への案内を続けましょう。」
エインジェルはハインリに背を向けて、案内の再会に向かった。
ナビエはハインリに目で”私は大丈夫なので、一旦行くわ。”と合図した。内心は辛く、ハインリ、頑張ってもう少し耐えて…という気持ちで、エインジェルに続いてその場を去った。
*
「ここです」
エインジェルが案内してくれたのは2階の一番奥にあるかなり広い部屋だった。部屋は全体的に薄い朱色でまとめられ、家具や調度品が準備されていた。
ナビエは部屋の中を見て回った。エインジェルはじっとナビエの様子を見ていた。
しかしナビエが窓から外を見ると、彼はいきなりついてきて、外について説明し始めた。その行動の意味するところを考えるナビエだったが、分からなかった。彼のする一挙手一投足が、今のナビエには過剰に気になるのだった。
*
一通り見て回り終わり終わったナビエ。
幸いなことに、エインジェルはここで過ごす間の食事や従者のルールなどを説明した後は去った。
そして、部屋はナビエが一人で使う部屋なので、マッケナやランドレ子爵、その他の護衛や使者たちは一旦全てそれぞれの持ち場に戻った。
残ったのは侍女のマスタースだけになったところで、彼女はさっき見た鳥について聞いてきた。
「皇后陛下と時々一緒に遊んでいる鳥によく似ていましたね。私は動物の顔の区別がうまくできませんが、それにしても似ていました。あの鳥と羽の色、目の色がそっくりで…」
ナビエは「そうなんです。いなくなったのですが、彼が持っていましたね」と返事をした。
*
ナビエはコートを脱いで椅子に掛け窓に近づいた。カーテンを開けて外を覗くと、たくさんの騎士たちが見えた。各国の王たちが出席するパーティがあるからなのか。騎士たちはすべて多国籍騎士団の騎士たちであった。
誰かと目が合う前に窓を閉じ、カーテンも閉めた。
*
「なぜエインジェル卿が皇后陛下の鳥を持っているのですか?」マスタースは不思議な様子だった。
ナビエは、伝書鳩として使ったが、彼に囚われてしまったようだ、と伝えた。(嘘ですが)
マスタースは理解した様子で、だからあんなにナビエが飼い主なのかどうか明らかにしようと、見せびらかしてきたのだと理解した。
マスタースは伝書鳩には残念だが、こちら側は諦めた方が良いのでは?と伝えてきた。
勿論彼女に悪い気はないが、ナビエは「なぜ?なぜですか?私は取り戻すことができないと言いましたか?」と思わず返した。
*
ナビエは上着を脱ぎ、部屋用の楽な服装に着替えた後、マッケナが来るのを待った。
ハインリが鳥かごにいる姿を一緒に見たので、そのことについて話し合いたいだろうと考えていた。
20分ほど待つと、マッケナが入ってきた。
ナビエはマスタースにお願いをして、マッケナと二人きりになった。
そしてさっそく本題に入って議論する。
しかしマッケナも、鳥かごがあんなに通路の中央に置かれていると、こっそり盗み出すことも難しい、と悩みイライラしている様子だった。さっき、エインジェルの前ではかなり毅然とした態度だったのに、予想外に彼も取り乱した様子だった。
マッケナは、ハインリを助け出すためにも、どんな状況で捕まえられたのか知る必要があると考えていた。とはいえ、分からなければこのまま放置することもできないし、悩ましい状況だった。
2人は何とか助け出す方法を真剣に考え続けたのだった。
*****
その頃、ルベティは物陰から、階段に座ったエルギ公爵を見ていた。彼は思い悩んだ顔でネックレスを握っていた。
周囲には誰もおらず、護衛もいない様子だ。
*
元々、ルベティは彼を訪ねてきたわけではなかった。
数日前、ナビエが新年祭に参加するためにしばらく宮殿を去った。ルベティはそれ自体には何も思っていなかったが、宮殿内の側近たちの雰囲気を見ていると彼らの空気が重い。何か悪いことがあるようだと予感していた。
心配になった彼女は神殿に立ち寄って祈りを続けた。
「皇后陛下を守ってください。皇后陛下に災難が降りかかりませんように」と。
*
神殿から帰ると、ルベティはラリ・カイを訪ねて遊び相手になった。
しかしルベティは、ふと兄のことを思い出した。
兄・アレンはいつもアンが世界で一番きれいだと賞賛した。きっと空から降りてきた天使なんだと言っていた。これを聞いたルベティはそのたびに咳ばらいをしていた。客観的には外見の良い子供であったが、ラスタにそっくりなことが嫌だった。
兄のその発言をとても迷惑に思っていたが、今はそのことすら懐かしく思えた。迷惑だと思ったその頃にすら、帰りたいと思った。愚か者であると思った兄だけど、今はそんな愚かな姿すら見られないと思うと寂しい気持ちだった。
彼女に色々な想いが込み上げ結局涙を流すと、侍女たちは驚いて、どうしたのかと尋ねた。しかし、ルベティは「目に何か入っただけです」と言い済ませたので、皆が彼女の涙は見て見ぬふりをした。
*
ルベティは風を少し打たれよう…と外へ出て、わざわざ誰もいない場所を選んで散歩して、気持ちを落ち着かせようとした。
そして、階段の上に座る、エルギ公爵を見つけたのだった。
*
”私の敵だ”
ルベティは思わず拳を握った。エルギ公爵が神殿にアンを連れて行かなければ、それから兄はラスタとの関係を疑われなかったはずだ。
ラスタは側室になった後、兄との接点はなかった。それなのに、あの男が『アンを神殿に連れて行って、兄がラスタと企みを犯した』というストーリーを作ってしまった。
ルベティは憎々しい思いで彼を見つめる。
周りを見回すと、今は誰もいない。
誰もいない、ここには。彼に攻撃を加えるなら、今だ。
彼女はゆっくりと彼に近づくが、エルギ公爵はまだネックレスを握って、深く考えごとをしていて気づく様子はない…。
そして、彼女は靴を脱いで、足音を消して、背後に近づいた。
階段に座った彼はずっと無防備な状態だった。
そこで、ルベティは彼の背後に立った。まだエルギ公爵は気づいていない。ルベティはゆっくりエルギに腕を伸ばした。
*****
ハインリは鳥かごの中に座っていた。その姿が不思議なのか、通り過ぎる人々は皆、鳥かごの中の彼を見つめて笑った。
人々の笑顔には好意に満ちたものだったが、ハインリにとっては全く喜びは無かった。それよりもさっき見たナビエの顔が何度も脳裏をよぎった。
悲しげな表情…。まさか魔法石を全部回収目前で捕まるとは。一人で動いたのが仇になったと後悔していた。
しかし、逆に考えると一人で行ったため被害が少なく済んだ。何人かが同時に動いて見つかっていたら、誰が見ても怪しいと考えられただろう。
ハインリは、「今は抜け出す方道だけ考えよう。どうすればここから出られるだろうか…」と考えた。
すると突然、叫び声が聞こえてきた。耳をそばだてると、急いだ様子の足音がどんどん近づいてきている。
「捕まえろ!」という声も聞こえた。誰を捕まえるのだろうか…と考えながら声の先を見ると、廊下を走ってくる人たちが見えた。
ハインリは目を大きく開いた。
その一行は騎士であった。しかも、騎士たちは仮面をかぶり皆顔を覆っていた。
そして、驚くことに彼らは皆違う軍に所属している騎士であった。理由は分からないが、それぞれが各国の騎士制服を着た騎士たち。中には西大帝国の服を着た騎士も見られたし、多国籍騎士団の第四騎士団の騎士の制服の者もいた。
そして不思議なことにその変な騎士が近づいてきて、ハインリに手を伸ばした。そして、突然ケージを開ける。
ハインリは訳が分からないので、翼をバタバタさせて「-グウウウウウウ!」と威嚇した。
どう扱われるのか…そう心配になったところで、「さあ、陛下」と、仮面の一人がとても小さな声で囁いた。
ハインリは鳴くのを止めた。 言葉を発した人物が誰なのかは分からないが、「陛下」と呼ぶのを聞くに、自分と同じ種族の部下であることは明らかだったので、身を任せることにした。
騎士たちは鳥かごにハインリを戻して、そのまま持ち去った。鳥かごは他の騎士たちがその周りを囲んで一緒に走ることで、目くらましをした。
*
ハインリは持ち去られる際に、鳥かごの中であちこち頭や体がぶつけたが、頑張って悲鳴を出さないように飲み込んだ。今は逃げることが重要だ。
しかし、鳥かごを握った騎士が突然止まったので、ハインリはかごの後ろに思いっきり体を打ち付けた。そして、慌てて起き上がり、頭を振った。
騎士たちの立ち止まった視線の先を見ると、その前にはエインジェルが立ち、笑っていた。彼は腕を組んだまま廊下を塞ぎ、その後ろには多国籍騎士団第四騎士団の騎士たちが、立ちはばかっている。
後ろからも足音がする…と思ったら、驚くことに気づいたら後ろからも別の騎士団が立ちはばかり、壁を作っていた。
多国籍騎士団第四騎士団制服と似ているが、少し違った形のものを着ている。どうやら、多国籍騎士団の別騎士所属の騎士たちのようだった。
ハインリは思わず唾を飲み込んだ。あっという間に八方ふさがりになった。このような状態で逃げることができるだろうか。
しかも、エインジェル…悪だくみをするキツネ顔は、たった一羽の鷲のために皇后が連れてきた騎士たちがここまでの冒険を犯すことを変に思うだろう。
ハインリの推測通り、エインジェルすぐ指摘をする。
「無断で他国の騎士の服を盗みましたね?私の目を隠すためにはだけでなく、他の国の王族たちの目からも隠すためだ。しかし、そこまでして取り戻さなくてはいけない鳥なのですか?答えはまたゆっくり教えて下さい。」
窮地に追い込まれたこちらを見て、エインジェルはけらけら笑った。
「こちらの制服を着てみたかったら言えばいいことを。むやみに盗んではいけませんよ。」
そう告げて…?
*
続く。
またまた、時間を空けてしまいすいません。
色々とこの先が気になる展開になってきました。
ルベティはエルギ公爵を手にかけてしまうのでしょうか。いくら宿敵だからと言って、今手にかけていいことはあるんでしょうか。(彼女の恨みは晴らされるかもしれないけど)
*
そして、なんとも無鉄砲とも思える作戦でハインリを救い出そうとしていますね。
果たしてこのまま失敗に終わるのか?!
ハインリが早く人間に戻れる場所へ行けるといいのですが。
*
この続きの248話はこちらから
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