LINEマンガで連載中の『再婚承認を要求します』の原作、韓国小説の翻訳ネタバレを記載。
端折ってまとめて書いているので、全体的に伏線漏れあり。ご了承ください。
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255話 大きな問題にはならない
しばらくして、東大帝国と西大帝国が連合を抜けるという話はエインジェルの耳にも入った。
これを聞いたエインジェルは眉間にしわを寄せて考えた。
何かしらナビエが行動に出ることは、彼の予想の範囲だった。
新年祭の時、ナビエ皇后はそのような爆弾発言をした。エインジェルは彼女がその後もどんな発言をするのか気になっていた。何を考えているのか気になっていたが、まさかその結果が連合から出るということだとは……。彼は衝撃を隠せなかった。
部下たちは連合軍の影響力が減ることを気にして、エインジェルの様子をうかがっていた。
何やらエインジェルは薄笑いを浮かべている。部下たちからすると、それが良い話なのか、悪い事なのか分からなかったが…。
「団長?」
部下が慎重に尋ねると、エインジェルが窓際に立ってカーテンを開け、下を見下ろして呟いた。
「どうなるだろう。元々仲が悪かった国だったはずだ。今回は手を取り合って脱退したように見えるが、どちらかがだまし討ちをしているのかもしれない…と、そういう不安もあるかもしれない。」
エインジェルは窓枠に手を差し伸べた。興奮して耳は赤くなり、口元には笑みを浮かべている。
「不安感を払しょくするために、お互いに手を取ろうとしているのだろうか…?」
部下はエインジェルがなぜ笑っているのか分からず、驚いてその様子を見つめる。
エインジェルの目つきがさらに鋭くなった。
「決裂の日が楽しみだ。」そう言って、ポケットから紫色のリボンを取り出し、口づけた。
部下には、その行動の意味もよくわからなかった。
*
そこで部下が別の話を切り出し、サンチェオンに関して報告を伝えた。今回は北王国の方へ向かっている模様だそうだ。加えて、彼らが子供を育てていることも伝える。
エインジェルはどうでもいいと言った様子で、「なぜ彼らは子供を育てるのですか?」と聞き返す。
部下が言うには、理由は分からないが北王国へ向かう道中で赤ちゃんの服や用品を売って行ったとのことだった。
エインジェルは子供を売るために育てているのだろうか、と思ったのだった。
*****
一方の東大帝国。
あれから数時間後。トロビー侯爵とソビエシュはナビエが提案した東西帝国の連合について話し合いをしていた。
大丈夫そうだな、と、ソビエシュは苦笑いを浮かべながらも快く承諾した。
「二つの強大国が意見を合わせることはかなり難しいだろうが、ナビエと君がいるからうまく合わせていけるだろう。直近は色々な問題が起きるかもしれないが、きちんと合意がなされれば長期的には良い話だ。」これがソビエシュの意見だった。
カール侯爵は横で静かに聞いていたが口を挟んだ。「その連合には東大帝国と西大帝国だけが入るのでしょうか?」
するとトロビー公爵が、「ナビエが言うにはホワイトモンド側もこの帝国連合に入りたいという意向だ」と伝える。
これにカール侯爵は新しい連合を立ち上げる前に、他の国の方にも帝国連合に入る意思があるかどうか尋ねてみるべきか聞く。三国が抜けただけでも、月大陸連合への打撃は大きいはずだが、他の国も入れば更に影響は大きくなる。
しかしこれにはソビエシュは首を振った。その部分はもう少し考えてからにしたいそうだ。
新たに発足する連合に不満を抱いた国がこちら側に仮についてしまうと、やることなすこと反対してくるかもしれない。
そうなれば、新しい帝国連合はうまく機能せず、最終的に崩壊に向かってしまうかもしれない。
現在の連合でも意見の食い違いで衝突は多々あるが、それは現行のシステムがうまく機能して何とかできている。しかし新しい組織はそうもいかないだろう。
初動を成功させるにはスモールスタートをして、後で追随国を募集する方が良いと考えたのだった。
そのように意見を述べながら、ふとソビエシュの視線がさまよい始めた。
「ナビエに子供たちは元気だろうか…?」
突然の突飛な発言に、トロビー公爵は自分にされた質問だとすぐに理解できなかった。
ソビエシュがいつも変な方向を見て一人で幻聴と話すことが多いからだ。
今回もその類だと思っていたら、今度はソビエシュが彼を見ながらまた尋ねてきた。
「子の1人がナビエにとても似ていた。」
トロビー公爵は皇帝が質問の内容を考えて視線を合わすことができなかったのだと理解してすぐに返答した。
「陛下、実は私はまた会っていないのでよくわかりません。」
「あれ、会っていないのか?」
「はい。会いに向かっている道中で呼ばれここに来ました……」
それを聞いて驚いたソビエシュだが、話を続ける。
「娘、息子一人ずつと聞いた。ナビエに似ていれば賢いだろう。」
トロビー公爵はそれに対して、慎重に言葉を選んで返答した。
「そうですね。ナビエに似ていれば間違いなくとても愛らしいことでしょう。」と。
*****
ナビエは天気がとてもよかったので、赤ちゃんをおくるみで包んで宮殿の近くを散歩していた。
後ろからは侍女たち、護衛のランドレ子爵がついてきていた。
ランドレ子爵は新年祭で多くのことに驚いていただろうが、依然としてナビエに付き従い今まで通りのように対応してくれていた。
ナビエにとってはとてもありがたいことであった。
しかし、新年祭をきっかけに、ナビエはランドレ子爵に頼りきりでいられないことにも気づいた。
いつかはランドレ子爵がここを離れるだろう。その準備はしておくべきだと考えた。
*
散歩中、突然、胸の中いたラリの姿が消えた。
「ラリ!?」
ナビエはびっくりして叫んでおくるみをぎゅっと抱くと、ラリの代わりに赤ちゃん鳥が現れ飛び立った。
それはラリだったが、すぐに飛んでいってしまった。
「ダメ!!」
ナビエは慌てて追いかけたが、鳥となったラリは瞬く間には小高い茂みに入っていってしまいすぐに見えなくなった。
ナビエは途方に暮れてからのおくるみを抱え、消えた先を見た。
急いで後ろから来たランドレ子爵が心配そうに尋ねる。
「どうしましたが?皇后陛下」
ナビエはパニックに陥りそうになったが首を振って気持ちを立て直す。
これまで突然鳥に変わることはなかったのに?なぜ突然変わったのか理解できなかった。
そして、ランド子爵にハインリを呼ぶように伝える。
ランドレ子爵は走って呼びに行った。
ナビエは涙を拭いてラリを探そうと奮い立った。
***
マスタースは悩みを捨てるために、剣術の練習に励んでいた。止めずに振り回した。
動いていないと、複雑な気持ちになって悩みで目から涙があふれそうになる。
笑えていれば皆心配はしないが、それができない状態だった。
”私は弱い自分に屈してはいけない”
そう思って何度も何度もマスタースは剣を振った。
その姿を騎士団の団員たちは心配した面持ちで見ていた。
マスタースの訓練で訓練用の人形がいくつも壊れていたから、設置費用を心配してであり、あくまでマスタースについて心配していたわけではない。
もちろん侍女たちマスタースを心配していたが。
*
マスタースが大声を叫びながら剣を振りかざして、訓練の人形が割れた、その様子を見た騎士団の団員たちは慌てて、止めなくてはならない…と思いその場を離れた。
練習場に誰もいなくなった時、やっとマスタースは床に座った。
彼女はやってもやっても苦しみから逃れることができていなかった。ふと自分の手を上げると血がにじんでいた。先ほどの衝撃で手が切れたのだった。
どうやら手で顔を触って顔にも血がついた様子だった。
しかしマスタースは気にすることなく、新しい剣を取り出して握った。再度訓練用の人形を狙って振ろうとしたその瞬間。
*
「血がついているよ」
後ろから聞こえた声に彼女は思わず動きを止めた。瞳が震えた。その声は夢にまで見た、よく聞いた声をだった。
聞けば聞くほど心が痛いこの声。
ゆっくりと振り向くとそこにはコーシャルがいた。
*
コーシャルはハンカチを取り出して近づいてきた。
「血が出ています。よく消毒しないと。」
しかしマスタースはハンカチを受けとらなかった。
「放っておいてください。コーシャル卿が気にすることはありません。」
そんな優しい態度や言葉は婚約者であるシャーロット姫のためにすべきこと…そう思うとマスタースはそのような対応しかできなかったのだ。
しかしコーシャルは食い下がる。ハンカチをしまいながら、別の言葉をかけた。
「マスタースさんはナビエの侍女であり、友達です。マスタースさんが怪我をすると、ナビエが悲しがります。」
しかしマスタースのことを直視できなかった。それはマスタースも同じで、彼女は訓練用の人形を見つめたままだった。
しかし彼の懐かしい声に心が揺れ、瞳は揺れていた。
*
その二人の姿を、偶然シャーロット姫は見てしまった。彼女はナビエを探している最中であった。
「---え?」
シャレット姫はハードカバーの本を抱きしめ、二人の男女の奇妙な光景を遠目で眺めた。お互いに目を合わさずに会話しているのに、どうも雰囲気が妙だ。
シャレット姫は唇を閉じて眉をひそめた。普通の関係だったら、こんな雰囲気になるだろうか。
彼女の頭の中に一つの考えが浮かぶ。
「もしかして、、男女の仲だったのでは‥??」
*
部屋に戻ってきたシャレット姫。膝の上に本を乗せ、ずっとそのことを考えていた。
考えれば考えるほど疑いの念が強くなり、結局その日の夕方コーシャルを呼び寄せて二人きりで話をすることにした。
「あなたは愛する人がいるのですか?」
この言葉にコーシャルは驚いた表情をしていたが、シャレット姫は堂々と質問をした。
「正直に答えてほしいです。嘘をついたら、分かりますから。」
しばらくしてコーシャルは口を開いた。
「いました。」
「いました、過去形ですか?」
「今は私の結婚相手がシャーロット姫様ということです。姫様のことだけを、愛するよう、努力もします。」
この言葉にシャレット姫は閉口した。これ以上尋ねる話ではないのだろうか。
まぁ……もちろん、まだ結婚していないので、そうかもしれないが、別に気分が良くなかった。政略結婚のために本当の恋人と別れることあちこちでたくさん見てきたし、理解できないこともない。
でもさっき見た彼は、別れた恋人をまだ気にしている様子であったし、彼女自身もそんな男と結婚しなければならないというのが少し不安に思った。
「わかりました。」と一旦答えたのだった。
*
コーシャルと別れると、シャレット姫は腕を組んで部屋をぐるぐると回った。
自分も政略結婚で、向こうも政略結婚。あえて気にする必要はない。
そこで花瓶に視線が行った。花瓶には黒ユリが入っていた。それはカフメン大公が渡してきたものだった。
シャレットは花瓶に近づき、花に鼻をつけて香りを吸い込んだ。
ふと、先程コーシャルといた相手の女性のことが気になった。
彼女はナビエ皇后陛下の侍女だったように思う。マスタースの顔を思い浮かべたシャレット姫はさらに眉をひそめた…。
*
続く。
また随分間を開けました。
クライマックスが近づいていますが、マスタースとコーシャルの問題。結局どうなるのでしょうか?
なんだか、ナビエが信頼されている姿、初日と違うのを思い出すと感慨深いですね。
ついにクライマックスと言う雰囲気。
*
そして、ナビエは、多分魔法を使おうとしていますね。何をしているのでしょうか?
*
この続きの256話はこちらからどうぞ

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