LINEマンガで連載中の『再婚承認を要求します』の原作、韓国小説の翻訳ネタバレを記載。
端折ってまとめて書いているので、全体的に伏線漏れあり。ご了承ください。
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258話 私たちの平和
「婚約を本気で破断すると言っているのか?」
ホワイトモンドの王は怒って叫んだが、王の前に立つシャレット姫は全く動じなかった。
婚約を破断にする…そう決めた後、父と相談するためにホワイトモンドへ帰省した姫は、口を真一文字に閉ざしていた。
その不気味な表情に、王は怒りを抑えて口を開く。
「お前は何を言っているのか、自分で分かっているのか。分かっていて、婚約破棄などと言っているのか。」
勿論、分かっていると答える姫。
それに対して王は「いや!何もわかっちゃいないだろう!」と怒りを露わにして、拳で机を叩きつけた。
今はトロビー公爵が東大帝国皇帝代理となっている。姫がコーシャル卿と結婚すれば、将来、あなたの子供たちが東大帝皇帝になることができたということだ。そのチャンスをみすみす捨てるということが、許せなかったのだ。
しかし、シャレット姫も動じない。
まだ生まれるとも決まっていない将来の子供のために、自分が不幸になれと言うのか。自分に死ねというのか。そう父に問いただした。
すると、さすがにこれには王も閉口した。勿論、彼女が不幸になることを望んではいないのだ。例え王とはいえ、彼女の父親である。当然ながら、シャレット姫が幸せになることを望んでいた。
ただ父である王が考える政略結婚によって得られる最高の幸せは、『最高位に上がること』だけだった。貴族に生まれれば皆、政略結婚を避けることができない。であれば、位が高い人間と結婚するのが良いに決まっている――。
弱小国の王としてたくさんの苦労をしてきた父王は、聡明で美人な娘には、その苦労をさせたくなかった。
*
賢いと信じていた娘が、カフメン大公と結婚すると言う。それで姫は幸せになれるのか。
しかしそれを娘に聞けば、大公は私を愛しているので、愛のある結婚だと答える。
「それだけが不幸中の幸いだ…」王はそう呟いて、ため息をついた。
王の表情は不安と心配に満ちており、眉間にはずっとしわが入っていた。
*
シャレット姫は流石に父に申し訳ない気持ちもあり、素直に謝った。
そして、「もしカフメン大公と結婚するのが国に損害であるなら、こんな申し出はしませんでした。しかしながら、カフメン大公と結婚するのはコーシャル卿と結婚するのと同じくらい、国に利益をもたらしますよ。」と告げる。自分が大公と結婚することで、ルイフトとの交易が生まれ、さらに他の国よりも優位に立つことが可能だと続けた。
その有益さは、既存の販路である、西大帝国経由を超えるものになるだろう。今はナビエと友情で交易しているが、さすがに自分と結婚したら結婚相手を優先するだろう…と。
しかも、西大帝国には港がなくてホワイトモンドの助けが必須である。自分がカフメン大公と結婚すれば、交易の経路も自分たちが主導できるはずだ。
王も彼女の主張は理解した。もちろん貿易において、姫が言うことは正しい話だった。しかし、ルイフトとの貿易で優位に立つよりも、東大帝国の未来皇帝の座を狙う方がその数百倍は良い話だと考えているので、簡単に「そうだね」と同意ができる話でもなかった。
それでも姫は食い下がる。
「とにかく破断の理由はコーシャル卿の女性問題なので、皇后陛下も私の意見を無下にできないはずです。皇后陛下も自分の意見を聞いてくださるはずですよ。」と伝える。
それでも「お前は間違った選択をしている。そして結婚をどうするかは私が決めることだ!」そう言って、王も譲らなかった。
*
王の姿勢は頑なだ。2人の間には沈黙が流れた。
シャロット姫はため息をついて説得を試みる。
父は普段は温厚だが、自分の将来に関わる話でとても興奮しているので、落ち着かせるのも一苦労だ。姫としては、結婚を一方的に破ったのは自分だから、その点謝罪しなければならないが、裏切ったのは相手だ、その点はきちんと伝えたいと考えていた。そして、仮に立場が逆になったとして、コーシャル卿は自然な夫婦関係を続けることができるのか。その点についても追及したいと思った。
逆に王は、勝手に結論を下した姫を厳しく責めたい気持ちと、子供の決断を応援したい気持ちのはざまに揺れていた。
*
沈黙を破ったのはシャロット姫だった。周りを見回し、父親に呼びかけた。
「今日した話は他言無用です。お願いします。」
カフメン大公は自分を愛する気持ち一つで花束を持ってやってきたというのに、自分はこんなに計算高くあれこれ考えていることを知ったら、彼ががっかりするかもしれない。シャロット姫としては、彼にそんな態度を取りたくなかった。加えて、侍女たちにさえそのことを知られたくなかったのだった。
(…カフメン大公知ってますけどね!?!)
*
王は姫を見て再びため息をついたのだった。
シャロット姫はぼそっと呟く。
「とにかく、コーシャル卿は今回私が退いてくれたことで、今頃とても喜んでいると思いますよ。」
*****
「私はまたもや…お前の足手まといになる行為をしてしまったようだ」
シャロット姫がホワイトモンドに去った翌日、コーシャル卿はナビエを訪ねてきてこう告げた。
重苦しい表情で、落ち込みうなだれた兄。何も気にすることなくマスタースとの恋路を進められるのに、それを全く喜んでいなかった。
ナビエは必死に兄に慰めの言葉をかけた。そもそも必ずシャロット姫と結婚する必要はなかったのだし、彼女が彼女なりに考えて下した結論だと伝えた。
しかし、いくら慰めの言葉をしても、兄は元気が出ないようだった。
こんな時、母が傍にいれば心強かったが…父が皇帝代理の役割を果たすようになり、母は彼に付き添うようにと要求を受け、数日前に東大帝国に向かってここを去っていた。つまり、今兄を慰めることができるのがナビエしかいないのだ。
*
この状況は勿論、兄だけではなくマスタースも同じだった。彼女も時に、窓の外を見たり、俯いたり…自責の念に駆られているようだった。
兄の話は、あなたのせいではない、ナビエは幾度となくそう諭した。しかし、”シャレット姫は自分のせいに結婚を破断した”そう思ってふさぎ込むマスタース。
必死に、「兄とシャレット姫の結婚は絶対的に必要なものではなかったのですよ」と伝えるナビエだったが、いつものマスタースには戻らなかった。
***
そんな最中だったが、新たに発足させる連合に関する討論が続いていた。
ほとんどは明るい話の議論だったが、ホワイトモンドに関しては少し緊張が走った。シャレット姫の話が発端となり、理由はさておき一方的に婚約を破断した姫に対して距離を置くべきと考える議員もいたからだ。新たな連合にホワイトモンドを入れない様にと主張していた。
議論の末、結局ホワイトモンドはそのまま連合参加者とすることになった。それは連合参加者となるルイフトのカフメン大公が、「ホワイトモンドも入れたほうがいい」と、助言したからだった。
ホワイトモンドに連合に参加して欲しかったナビエとしては、彼の支持がありがく受け取った。
西大帝国のプライドを傷つけられたとはいえ、最寄りの港を保有している国はホワイトモンドだ。どうしても参加が必要であると考えるナビエ。
ただし西大帝国の体裁もあり反対派の議員もいる中、何かしらの対策は必要…。そのため、ホワイトモンドとの間では西大帝国側に有利な協定をいくつか作ることとし、これにはホワイトモンド側も同意したのだった。
***
そして、数日後、ついに連合を発効させる日が近づいた。
*****
新しい連合発足のための署名に、ハインリとナビエは東大帝国に向かうことになった。
もちろん、中間地点で会うという話もあった。しかしながら、ソビエシュの体調が思わしくないという話で東大帝国からそのように要望があったので、応じることになった。
そしてその署名式の時には大臣たちも同行することとなった。
*
ナビエは侍女たちと東大帝国に向かうための荷物の準備中。
署名式後にパーティーもあるだろうから、それに向けてどのような衣装を準備するか‥と様々に話し合った。東大帝国の貴族たちに”ナビエは西大帝国で良い生活をしているんだ!”と誇示するために、皆色々意見があるようだ。
それもそのはず。最後にナビエが参加した東大帝国大規模なパーティーはラスタの結婚式宴会だ。その後、ラスタの裁判の時にも行ったが、非公式な場である。もちろん、ナビエが行ったことは周知の事実だが、パーティーというものではなかった。
侍女たちは派手な衣装を準備するべきだと主張したのだが、ナビエはそれに苦笑していたのだった。
*
するとさっきまで眠っていたカイが、ゆりかごの中でせき込み目を覚ました。手には人形を抱いている。
ナビエが両手を伸ばして抱きしめると、カイは声を出して笑った。カイは最近はこうしてナビエが抱きしめるたびに何か声を出す。可愛い限りだった。
すると、その様子を見ていたジュベール伯爵夫人が「ソビエシュ陛下は、皇女様・皇子様を見たら、きっとびっくりしますね。」と笑いながら言った。
カイの容貌はハインリに似ているし、ラリはナビエにそっくりな一方で、性格はハインリ似。そこまで今回の訪問でソビエシュに伝わるだろうか。
それを、ソビエシュがどんな風に感じるのか。勿論ナビエの知ったことではないが。
*****
ついに旅行の準備も終わった。馬車に乗り込んだナビエ。向かい側にはハインリが座り、両隣にはゆりかごに赤ちゃん二人が並んで横になっている。
馬車は出発すると少し揺れたが、赤ちゃんたちにも問題無い程度の静かなものだった。
平和な時間の中で、ナビエは持ってきた本を広げて読み始めた。
*
すると不思議な気持ちに駆られる。
約1年ほど前———。ソビエシュから逃げる様にハインリと二人で馬に乗って西大帝国にやってきた。
(1年前?!さすがに短くないか?と思ったけど原作が1年前になっていたのです。汗)
それが今は堂々と国賓として、東大帝国に訪問している。当時の自分が、将来こうなるとは思ってもみなかった。
*
途中、ラリはゆりかごの間に小さな足を出していた。
ナビエがそれを指でくすぐると、ラリは声をあげて笑った。
ナビエはふとハインリにあの馬に乗った日のことを覚えているのか聞いてみたくなり、顔をあげた。すると、ハインリは意外にも深刻な表情をしていた。
驚いてハインリに理由を聞くと、エルギ公爵の事を考えていたと言う。
そういえば、エルギ公爵はナビエが東大帝国から脱出するときに手助けをしてくれた。少し不愉快な方法ではあったが。
彼は今どこで過ごしているのだろうかと気になるナビエ。
ハインリにそれを尋ねると「彼は今、過去に囚われています」と答えるだけだった。
*
続く。
またものすごく時間を空けてしまいました。(ごめんなさい!)
今回は、①シャレット姫の婚約破棄・その後、②コーシャル卿とマスタースの苦悩、③東大帝国への署名に向かうハインリとナビエの3本立てでしたね。
シャレット姫の件は、、カフメン大公の計らいを知っている読者としては色々言いたいことがでてきてしまう話でした。
自分が計算高くやっていると思っているシャレット姫。しかし実際はカフメン大公はその更に上手だし、むしろ掌の上で転がされているというか…。
シャレット姫、いつかカフメン大公が心を読めると知ったらすごく傷つくんだろうな…とか、余計なことを思ってしまいました。(-_-;)
カフメン大公って抜かりがある人間の気がしているので(失礼だけどw)どこかでバレそうですよねー。
*
そして、コーシャル卿とマスタースの苦悩。
これはもう予想通り!読者全員が予想した展開で草。2人が吹っ切れて幸せになるまで、数年はかかるんではないか。むしろ結婚しないかも?とすら、思ってしまった。
二人とも、身分に翻弄されてしまっていて、可哀相だけど…仕方ないよね。
まだ結婚していないとはいえ、もうコーシャル卿が婚約した時点で熱いまなざしで見つめ合ったらアウトだったねー!
*
そして、ナビエとハインリの東大帝国訪問道中。
ナビエの回想している、必死にこそっと西王国(そのころは王国だ)に入ったナビエ。読者としてすぐに思い出せます。あの頃、本当にこうなることは読者としても予想していなかったなあ。
今思うと、ナビエは結果的に二つの帝国の救世主になった凄い偉業を達成しているし、東大帝国にとってもナビエが西大帝国に行ってよかったね。
ーー西大帝国の魔法使い減少問題で何かしら西大帝国に問題が起きたら、きっと東大帝国にも何かしら影響があったんじゃないかなーと思えてきました。
*
さて、後ラスト4話ほどですが、続きます。
この続きの259話はこちらからどうぞ
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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細かいあらすじとネタバレありがとうございます。
一気に読んでしましました。あと4話ということで、ちょっぴり寂しい気持ちもしますが、ラストに楽しみに更新お待ちしてます。
他のネタバレも楽しく拝見してます。どれも面白く夢中で読んでしまっています。本当にありがとうございます。
とまちゃんさん
コメントありがとうございます!
更新がめちゃくちゃ停滞していてすみません…。最後まで書く気はありますので、首を長くしてお待ちください‥!
他も色々気になるものに目移りしまくりですが、よかったらお付き合いください(⋈◍>◡<◍)。✧♡