LINEマンガで連載中の『再婚承認を要求します』の原作、韓国小説の翻訳ネタバレを記載。
端折ってまとめて書いているので、全体的に伏線漏れあり。ご了承ください。
過去の翻訳はこちらからどうぞ!
260話 愛する人に似た子たち
新しい連合の歴史的な第一歩は大会室で行われた。手続きの流れは、こうだ。
大きなテーブルを囲んで、あらかじめ何回も検討した条項をもう一度確認しあい、その条項の下に双方で署名する。そして、出席者内で回付し、署名する。
この場に集まったすべての人が署名した書類は双方に一部ずつ分けられ、最終的に大臣が署名をして完了だ。
ナビエは感慨深く、複数枚の署名を繰り返した。
署名後は「帝国連合が公式に発足した今、利益拡大だけでなく責任感を持って行動してください。」と皆に演説し、署名式は幕を閉じた。
*
ナビエには心配事があった。
今回の出席者筆頭に、帝国連合騎士団長として兄であるコーシャル卿の名前がある。
「自分を連合所属の騎士に入れ、出席させて欲しいーー」そう懇願したのはコーシャル自身だった。
しかし、父が東大帝国の皇帝代理になった以上、後継者である兄・コーシャルが西大帝国の騎士としていること自体、立場が微妙である。
とはいえ、帝国連合騎士団長を承認したハインリの体面もあるので、今回の出席を承認したのだった。
*
難しい顔で考え事をしているナビエ。
そこへ、大神官が話しかけてきて、「ナビエ様、少しお時間をください」と言う。
ずっとナビエの手を握っていたハインリにも確認すると、外で待つと言う。
ナビエは大神官と二人で話をすることにした。
***
署名式が終わった大会議室に二人だけで残ることにした。皆が退出し始めるとそこは二人だけだととても広く感じられた。
どういう話だろうかと少し緊張した面持ちで聞くナビエ。どんな重要な話だろうか。
すると予想外の言葉を大神官は発した。「今は幸せですね?ナビエ様」と。
ナビエは「もちろんです」と答えた。
予想外だが単純な質問だったので、笑いながら答えた。
大神官の口元にも笑みがこぼれた。彼にナビエとハインリの結婚承認を要請した時の表情とは全く違った。
「良いことです。それが一番大事ですからね。」大神官はそう返した。
「子供たちが愛しくて。愛しくない子供なんて一人もいません。大神官様、ありがとうございます、昔も今も。」
その言葉に大神官は優しく笑う。
大神官の笑顔を見ると、ナビエの心も温かくなるようだった。
***
外に出るとハインリが柱にもたれてナビエを待っていた。
ナビエが出てくるのを見るとすぐに近づいてきて、大神官とナビエが並んでいると不安だと言ってきた。
ナビエは、まさか大神官にまで嫉妬するのか?と怪訝な表情でハインリを見つめる。ハインリは、「クイーンが本当に天使になってしまのではないかと思いまして…」と耳打ちしたのだった。
ナビエはハインリの度を越した発言に、歯が浮くような気持ちであった。しかし隣を見ると、澄んだ瞳で笑って見せるハインリ。結局はナビエもつられて笑ってしまうのだった。
ハインリはなぜ大神官はナビエと二人きりになったのかと聞いてきたが、ナビエは秘密ですと返した。
「連合の署名を交わしてすぐに秘密だなんて!」と怒るハインリだが、ナビエはどの口が言うんだ…という気持ち。
続けて些細なことで口論をする二人だったが、ナビエは人がいないことを確認したうえで、さっと彼の唇に口づけをした。
ナビエは速足で歩いてその場を立ち去ると、しばらく後ろでびっくりして動けなかったハインリが、「クイーン!」と呼びながら追いかけてきた。
自然と口元が緩むナビエだった。
***
「すべての子供たちが愛おしい。愛おしくない子供なんて一人もいない。」
大神官はナビエの去った後、まだ大会議室に残っていた。彼は自分がナビエ言ったことを反芻していた。
彼はナビエが幸せであることが、心から嬉しかった。これには偽りはなかった。
一方でため息もついた。ソビエシュに対してだ。
彼は愚かなことをしでかしたと怒ってはいたが、一方で苦しみから解放されて過ごして欲しかった。
大神官にとっては二人とも、幼い頃から見てきた子供たちだからだ。
勿論、ナビエの前では彼の話はしなかったが、そう思っていた。
*
大神官が部屋の外に出て、待機していた司祭にソビエシュの容態を聞く。
司祭は「今も良くない状態です。カルル伯爵様がおっしゃるには、ナビエ様一行をこっそり見物に行ってきた後、更に状態が良くない」と言う。
しかし一度は彼に会わなくてはいけないと言う大神官。ソビエシュの事を考えると大神官の表情は暗くなった。
司祭は大神官の表情を見て、彼の体調を気遣った。(大神官は健康ではあったが高齢だったので)
*
しかしふと大神官は上を見上げ、「そうだ、あの塔へ行こう」と司祭に告げた。
そこはラスタが身を投げた塔であった。
大神官はラスタの報告が帝国から上がった時のことを思い返していた。
当時の大神官はラスタに非常に怒っていて、ちゃんと会話をする気にもならなかった。なので、改めて彼女の事が気になったのだそうだ。
今はそこへ行き、成仏できるように祈りだけでも捧げようと司祭に言うのだった。
*****
ナビエはソビエシュが何かの言い訳をしてもう一度赤ちゃんを見に来ると思っていた。しかし意外にも彼は現れなかった。
夕方から連合が発足したことの祝宴が開かれるので、準備をしながら彼の様子を聞いてみると、ソビエシュはそこにも出ないと言う。
「王冠がない!?どこにありますか?!」「あれ?!ドレスはどこですか?!ハインリ陛下特注の…」
祝宴に向けて侍女たちは準備に追われていたが、その準備する間も幸せそうであった。ナビエもそれ以降ソビエシュのことは口に出して聞かなかった。
*
ジュベール伯爵夫人はクリーム色のドレスを、ローラはピンクのドレスを、ナビエは金色のドレスを着た。
カイ・ラリにもナビエに似た黄色い服を着せた。
「ああ、本当にかわいい!」
ローラは赤ちゃんの様子を見て感嘆していた。二人は本当に可愛いからだ。
双子は同じような服を着ることで、顔こそ違うが双子の感じが出ていた。
*
しばらくして、準備を終えた頃の時間を合わせてハインリが入ってきた。ハインリも普段よりも煌びやかな礼服を着ていた。
ナビエはハインリにラリとカイを見せようと声かけた。
すると彼は「クイーン」と呼びかけながら入ってきて、ナビエの金色のドレスを見て恍惚の表情をするのだった。(ナビエはそれに付き合って話しかけるのを止めた)
「ドレス姿が一番好きなのですか?」と聞くナビエ。
それに対して、「いいえ、クイーンが好きです。…?いえ、そうです。」と答えるハインリ。
違うんじゃないんかい!と思うナビエ。
ハインリは「目が壊れています。あまりに美しくて…」と続けた。
それに対して笑うナビエはだったが、ふとローラを見ると、彼女は固まって腕をさすって、ちょっとうんざりした表情だった。
*
ナビエがカイを、ハインリがラリを抱いて、宴会場に入った。
かつてソビエシュのエスコートを受けて下った階段。ナビエは降りる時にふと階段の上に立って、下を見下ろしてしまった。
ソビエシュがここに私を置いてラスタと行ってしまい、人々はナビエを悩みの種だと見ているようにも思えた。
1年が過ぎ、今ナビエは再びその場にいる。今、前のように哀れな表情でナビエを見る人は一人もいなかった。
*
ーーーそこへヴァイオリンの音色が心地よく流れた。
「クイーン?降りますよ」そうハインリは声をかけた。
片手には赤ちゃんを抱え、もう片方の手はハインリのエスコートを受け、階段をゆっくり下りて行った。
そこにはエルザ伯爵夫人が出迎えた。そして、かつてナビエの侍女だった人たちも近づいてきた。
「本当に可愛らしいお嬢様ですね。皇子の名前はカイサですか。」と声をかけてきたので、普通はカイと呼んでいますよと答えた。
人々の関心が自分に集まるのが嬉しいのか、カイはいつもよりにぎやかに笑う。カイは自分に視線が集まるのが好きのようだ。
侍女たちが赤ちゃんを抱っこしたいというので渡すナビエ。一方のラリはハインリに抱きしめられていたので、そちらには皆が話しかけづらかったのだった。
*
ナビエが周りを見渡すと、ホワイトモンド王の姿が。シャーロット姫が結婚を破ったことで、署名をする時にも意気消沈した様子を見せていた。
すでに結婚の話を気にして西大帝国にいくつかの有利な案件を提示してくれていたが、それでもまだ落ち込んでいる様子だった。
ナビエが先に声をかけようか悩んだが、自分が話しかけると西大帝国の貴族たちが混乱するかもしれないと思った
そこへ、ナビエの元へ意外な人物が近づいてきた。トゥアニア公爵だった。
*
「皇后陛下、お元気な姿を見ることができとても嬉しいです。」
トゥアニア公爵が近づいてくると、侍女たちはすぐに静かになった。
トゥアニア公爵夫人とは長い時間を過ごしてきたが、トゥアニア公爵とはほとんど接点がなかったからだ。
彼がナビエの元に来たのは、ニアンについて尋ねたいからだろうか。元気かと聞かれたら、とても元気だと答えるしかない。
「皇后陛下、私の妻は…。」
トゥアニア公爵が口を開けた瞬間だった。
「皆が彼女を嘘つきだと言っても、絶対に彼女の言葉だけを信じるーーそんな恋人に出会って幸せに過ごしていますよ。」
一足先にランドレ子爵がそのように答えた。
トゥアニア公爵はランドレ子爵を見ると表情がこわばった。
「それは本当だろうか。」
侍女たちは思わず口元をおさえ、目配せをしあった。権力を持つの元夫と武力を持つ現恋人。この二人がぶつかる
様子は確かに面白い。
しかし、周囲の好機の眼差しとは打って変わって、トゥアニア公爵とランドレ子爵の間に流れる空気は冷え切り、殺伐としていた。
ナビエは両者を一瞥し、後方に下がることにした。
***
旧友に会うのは楽しい時間だ。だがそれも、3時間が過ぎると段々と疲れてきた。皆久しぶりに会うと、ずっと同じような言葉を繰り返し聞いてくるからだ。
結局、ナビエは少し休もうとラリを連れて外に出た。
カイとハインリにも声をかけようかと思ったが、晴れの日で気が大きくなっているハインリがカイを抱えて、あちこち歩き回っているのを見て、やめておくことにした。
*
ナビエは今日非常におとなしく良い子にしているラリを抱え、外に出た。風が心地よかった。
外に出ると、幼い頃ここで過ごした日々を思い出したナビエは、色々な場所をめぐり歩き回ってラリに一つ一つ説明した。
「お母さんは幼い頃、ここによく来たんですよ。ほら、ここを見て。」
もちろん、ラリはまだナビエの言葉を理解することはできない。そんなラリだが、手を伸ばしてナビエが指した木を掴もうとした。
「お母さんは考えごとがあると、よくここを歩き回ったんですよ。夏になれば、こちらからこちらまで白い花が咲いて…」
ラリとカイがもう少し大きくなった時、東大帝国に一度連れて来る機会があるだろうかーー。
「ここはお母さんがお父さんと初めて散歩したところです。そしてここは……」
そんなことをラリに説明して周っていた時だった。
*
ナビエがラリに説明しようと噴水を指したその先に、見知らぬ人が立っていた。
ソビエシュ。
皆豪勢で煌びやかな格好をしている今日の貴族たちとは異なり、軽装の出で立ちだった。
彼も散歩していたところだったのだろうか。ナビエを見つけたことに驚いたのか、じっとこちらを見ていた。
ナビエも噴水を指していた手をゆっくり下げ、表情を曇らせた。ラリはナビエの首に顔を寄せたーー。
*
続く。
またまた時間を空けてしまいましたが、ついに260話です。
そして、ナビエは色々な人達と再会していますね。
カイを自慢したくて、気が大きくなるハインリなんか可愛いですねw
*
トゥアニア公爵の話はちょっとヒヤッとしましたが…というか、ランドレ子爵参加してたんだ。(前話を読んだのが前すぎて忘れているだけ?笑)
*
咥えて、やっとやっとソビエシュとナビエが出会いました。
散歩している場所はきっとソビエシュとの思い出もたくさん詰まっている場所でしょう。
どんな会話をするんでしょうか。(いや、しないのか?)
*
ラスト2話ですね!
伏線回収が進んでいる気がします。(終わっていないところもあるけど、そこは外伝なのかな)
ゆっくりですが、また続けて書いていきます。
この続きの261話はこちらからどうぞ
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