LINEマンガで連載中の『再婚承認を要求します』の原作、韓国小説の翻訳ネタバレを記載。
端折ってまとめて書いているので、全体的に伏線漏れあり。ご了承ください。
過去の翻訳はこちらからどうぞ!
196話 一人では死なない
ラスタ皇后の裁判当日の空は、雲がかかり、灰色の光りが差し込んでいた。
民衆はそわそわした気持ちで、この稀代の裁判を見学すべく裁判所に集まった。
彼らの心の内は複雑であった。人々の認識はこうであった。
皇帝を騙し、別の貴族との間に生まれた娘を皇帝にしようとした皇后。
側室出身で、正規の皇后を追い出し皇帝の愛を一身に受けとめた。
しかし皇帝が別の女性に心変わりすることに気づき、その女性を殺そうとした。
一方で自分は他の国のハンサムな貴族と恋に落ち、港まで渡す約束をした。
最終的には勝手逃げようとして連れ戻された。
そんな皇后が最終的に罰を受けることは望ましい事であったが、民衆は彼女をかつては「平民の希望」と称えていた。偽の希望であったが、彼女は確かに光であった。
なので、複雑な気持ちなのであった。
複雑な気持ちになるのは民衆だけではない。
立て続けに皇后が二人降格したので、次の皇后は誰になるのであろうかという点を皆が気にしていた。ラスタのことがあったので、平民から出ることは無い。貴族から出るであろうが、皇后を輩出する争いがまた起きるであろう。その激しい貴族同士の争いは、貴族たちの頭の痛い問題であった。
***
ピルヌ伯爵が今日の法廷の記録係として裁判に参加する予定である。その準備を執務室で進めていた。
そこへソビエシュがナビエは来たかと声をかける。忙しそうなピルヌ伯爵に代わり、カルル侯爵が答える。
「ナビエ様は昨晩トロビー家の邸宅に行かれました。ハインリ様と侯爵夫婦3人と一緒です。」
ソビエシュは複雑な表情で法廷に来るのかと再度尋ねた。
カルル侯爵は「事前にお伝えした通り、参観だけの予定です。詳細は分かりかねます。」と答えた。ソビエシュは落胆した様子で、視線を落とした。
ピルヌ伯爵は助かったという様子で、そそくさと部屋を出て行った。
*
続いてソビエシュはエルギ公爵の行方について聞いた。
港の問題が起こった後、ソビエシュは正式に東大帝国の宮殿からの退去依頼を通知した。しかしながら彼は宮殿は出たものの、東大帝国の首都に留まっている様子だった。
どうやら彼はヴェルディ子爵夫人に会った様子だ。その後は静かだと言う。
噂によると、エルギ公爵はヴェルディ子爵夫人に対し「グローリーエム姫を連れて外国で逃げて過ごすのはどうか」と提案していたそうだ。
ソビエシュは実の娘ではないと判明しても、やはりグローリーエムを愛していた。しかし娘はラスタにに過ぎていた。養子縁組をすることは難しいだろうし、ラスタに似て行くグローリーエムは見たくない気もした。
子供の父と母が重罪である場合は本来は奴隷になる。しかしソビエシュはグローリーエムが奴隷になることを望んでいなかった。哀れな境遇を思って平民として生きることはできるが、ラスタに似た要望となった際に好奇の目にさらされるかもしれない。
それであれば、外国の小さな貴族に買われて育ててもらうようしたほうが良いのかもしれない。
ソビエシュは法廷が開始されるまでに30分時間があることを確認し、一旦執務室を出て寝室に向かった。そこでぼんやり絵のナビエを眺めたのだった。
*****
ナビエは東大帝国に入って国境にある町に滞在した時、裁判は思ったよりも激しいものになるかもしれないと感じた。
というのも、そこで初めて港の騒動の話を聞き、ロテシュ子爵とイスクア子爵夫妻の裁判での告白の話を知ったからだ。
ルベティのことも気にかかったが、彼女については新聞に載っていなかった。彼女が見つかった際にはこちらにも連絡が来るだろうと思い気を取り直した。
ぼんやり考えながら化粧台の前に座って鏡を見ていると、ハインリが話しかけて来た。
彼は変装のため、平凡な貴族風の簡素な格好をしている。いつものハインリよりは地味に見える。
ハインリは本当に大丈夫かと気にかけてくれていた。
確かにラスタとソビエシュの結婚はナビエが最大に傷ついた話だった。今回のソビエシュの結婚の破綻は、ナビエとの離婚の時よりも問題が大きくなるように感じる。だからと言って、ソビエシュにもラスタにも同情する気持ちは一切わかなかった。
ハインリはナビエに何か揉んだがあればすぐに言うように伝えた。
*
暫くして二人を乗せた馬車は最高裁判所の前に止まった。そこには既にたくさんの人が集まっていた。
二人は馬車を下りて2階にある貴族席の一番目立たない末席に座った。
*
やがて開廷。ドアが開いてソビエシュが入ってきた。ソビエシュは傍聴席を見て、皇帝専用席に着席した。
続いてドアが開き、騎士に両脇を抱えられたラスタが入ってきた。そして静かにソビエシュの横の席に座った。
人々が静かになった瞬間。最高裁の裁判長が口を開いた。
「これからラスタ皇后の皇室詐欺疑惑、その他の罪についての裁判を開始します」
***
まず証人席に現れたのはロテシュ子爵とイスクア子爵夫妻、アレンだった。彼らはまだ死刑は執行されず、刑務所に閉じ込められていたようだ。
彼らを前に、先日の裁判と関連したラスタの罪状を読み上げる。アレンだけが必死に無実を叫んでいたが、その声は虚しく響き、誰の心にも届かなかった。
ラスタは暗い表情で冷静に、イスクア子爵夫妻を見つめていた。
*
次に入ってきたのは、ベア商会の会頭だ。彼は手形利用に関する問題(ナビエの手形を勝手に利用した罪)の証人であった。
新聞に書かれていたことは正しいか、なぜ問題が発生した当時は沈黙していたのか…などを裁判長は会頭に訪ねた。彼は当時黙っていたことを認め、問題に気づいていたことを素直に謝罪した。
*
次に登場したのは元メイドのデリスだった。彼女はラスタが隠していた鳥の羽をむしった事実に気づき、口止めとして舌を半分切られたと証言した。
人々はこの話に狂っていると口々に話す。
裁判長はこの事実は本当かとラスタに問いたが、ラスタは認めなかった。(これにも人々は口々に傍聴席から文句を言った)
*
次に出て来たのは、エベリーだった。エベリーはひたすら自分を侮辱してきたという話と、西大帝国に出向いた際、ラスタの差し金で事故を起こした話をした。
更にはランドレ子爵も証人として現れ、ニアンの名誉棄損に関して証言をした。
更にさらに、ソビエシュ秘書のカルル侯爵が証人席に立った。彼はラスタがエルギ公爵に私的に金銭を流用したという話、その用途が恋人であるアレンとのこの養育費だったという話、そして港を渡す約束をした話、エルギ公爵との間のスキャンダルについて証言した。
*
最後に証人たちが彼らが持つ証拠を提出した。それが公開されると場内のラスタに対する批判的な雰囲気はますます悪化した。
裁判官は一つ一つについて、ラスタに事実は正しいかと聞くも全てに対して否定してみせた。
*
その時、突然法廷内に「証言したい!」と声を上げた者がいた。彼はデリスの兄、記者ジョアンソンであった。
彼は裁判官に判決文書を手渡す。ジョアンソンは、「そこには『ラスタの親と主張してきた者の名前。娘はラスタ。リムウェル領地行きの奴隷宣告』と書かれている」と説明した。
場内のざわめきは最高潮になる。ラスタが奴隷だったということか?!と、皆驚きを隠せない。
平民ではなく、奴隷だったとは信じられない。国の恥さらしだ!と皆口々に悪口を言った。
ソビエシュはずっと無表情で裁判を聞いていたが、怒りが見え隠れていた。
そしてこのジョアンソンの証言にはラスタも声を上げた。ジョアンソンを押しのけてこう叫んだ。
「陛下は知っていました!」
*
続く。
ちょっとあまりにも罪状が多くて疲れてしまいました。
途中で、エルギ公爵に私的に使ったお金はアレンとの子供の養育費と書かれていたのですが、これは原作でもそう書かれていました。この話は事実では無いと思うのですが、エルギ公爵なのかカルル侯爵なのか?にねつ造されたのかな。よく分からないです。
ランドレ子爵は、原作ではソビエシュのことも責めたけど裁判官によって流されたみたいな話も書かれていました(笑)
ラスタは言わずもがな最低だけど、本当に奴隷の話もだけど、これらを見逃してしまったソビエシュの責任は重いと思う。
それを責められない人々も裁判官もダメだな…東大帝国の未来が暗いな~と思ってしまった私です。
*
この続きの197話はこちらから
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
押してくれると喜びますー!
にほんブログ村