LINEマンガで連載中の『再婚承認を要求します』の原作、韓国小説の翻訳ネタバレを記載。
端折ってまとめて書いているので、全体的に伏線漏れあり。ご了承ください。
過去の翻訳はこちらからどうぞ!
248話 見たかったもの
しばらく妙な時間が流れ、エインジェルは首をかしげて何も知らないふりをして聞いてきた。
「もしや、その鳥が黄金の卵でも生んだのでしょうか?こうしてまで連れ去ろうとしているのを見ると、それを見ようとしているとしか思えません」
これを聞いたハインリは慌てて翼で自分自身を覆って隠れた。エインジェルが”もしや、魔力減少現象に関する秘密と、鳥は関連しているのではないか?”と勘づくことを恐れていた。
普段からキツネに似ているエンジェル。目を細めているので、ますますキツネのような顔でこちらを見る。ますますハインリたちは緊張をした。
そこへ、鳥かごをもった騎士がささやき声で言った。
「隙を作るので、何とか逃げて下さい。あの人の部屋は2階の一番端です。扉を開けておいたので、そちらから飛び立って、外に出ることもできます。」
仮面の騎士が言う「あの人」とはナビエの事だ。ハインリはそれを聞くと一旦、分かったという意思表示で「クー」と小さく鳴いた。
そして次の瞬間、一番手前にいた仮面騎士が剣を取り出してエインジェルに立ち向かった。奇襲だったが、エインジェルは驚かずに、一歩後ろに後退して自分の腰から剣を抜き、対峙した。
剣と剣がカンカン!と音を出して、衝突しあう。その音を皮切りに全体の戦闘が始まった。
熾烈な戦いが繰り広げられているので、周囲の関係のない人々も何事かと集まってきた。
しかし、騎士の数が多すぎた。しかも連合軍の騎士たちと戦う騎士たちも各国の制服姿なので、見た人々はみんなびっくりしてお互いの顔を見合わせた。自国が連合軍の騎士団となぜ戦っているのか分からず、人々は不安に感じた。
段々、仮面騎士はたくさんの国の制服を着ていることに気づき、人々の不安な気持ちは一度それたものの、自国の体制を確認するために皆すぐにその場を去っていった。
その時、ついに隙ができた。仮面騎士はその機会を逃がすまいと鳥かごの扉を開いた。待っていたハインリは勢いよく飛び立った。
「つかまえろ!!」
多国籍騎士団の騎士たちが手を伸ばしたが、そこは天井が高くとてもハインリには届かなかった。
ハインリは2階に行くのではなくまずは、別の窓を探した。すぐにハインリとナビエの関係に感づかれないようにするためだった。
しかし、仮面騎士が指摘した窓以外、既に全ての窓が閉じられていた。
きっと事が起きる前に閉じる様にエインジェルが手配したのだろう。これはハインリの想定の範囲内だった。しかし、呑気に次の方法を探している訳にもいかない。連合の騎士たちはまだハインリを追いかけ続けていた。
ハインリはわざと上の方をぐるぐると飛び、物陰に隠れては出てきたりをして、彼らの視線を混乱させるように仕向けた。
連合軍の騎士たちが混乱し視線を別の場所へ誘導したところで、すぐに2階の廊下に向かって飛んだ。
ナビエへの部屋へ続く扉は約束通りに開かれていた。その中にすっと入ると、落ち着かない様子で部屋の中をうろうろしているナビエが見えた…。
*****
ルベティの手がエルギの背中に触れそうになったその瞬間。ルベティは目を閉じた。
”殺そう!復讐するんだ!”
しかし、結局…彼女は背中を押す最後の一押しができずにいた。
すると、「最後の一押しで、気持ちが緩んではいけませんよ、お嬢さん」という、エルギ公爵のからかう声が聞こえた。
ルベティはもちろん自分のことには気づかれていないと思っていたので、びっくりして後ずさりした。
不思議なことに、エルギ公爵にそんなことを言われると、彼を突き落としたいという気持ちがどこかへ行ってしまった。
彼女はラスタがエルギ公爵の言うことを聞いていた光景を思い浮かべていた。ラスタは彼からの色々なアドバイスを真に受けたことで、結局命を落とすことになった。自分もそうなるところだったと思い、ルベティはさっと元の道へ戻った。
「どこへ行くの?」
踵を返したルベティを見て笑いながら、エルギ公爵は声をかけた。
ルベティが再度振り返ると、彼は手すりに頭を預けたまま、微笑をしてこちらを見ていた。
落ち着いた態度で余裕のある笑顔…。まさに彼は絵本にも出てきそうな王子様にも似た美男子だった。彼は「押してと言ったら押してくれたの?」と聞いてきた。
ルベティは答える代わりに後ろを振り返る。エルギ公爵の笑い声が聞こえたがイライラしたので、足早にその場を去ろうとする。
しかし彼女が足早に階段を登ろうとした時、バランスを崩して転びそうになった。
間一髪のところで誰かが彼女を捕まえた。振り返って確認すると、それはエルギ公爵だった。
「結構です!」ルベティは叫んで、再度階段を登ろうとした。
しかし横を見るとエルギ公爵が一緒に付いてくる。「急ぐと危ないよ」と言いながら。それに驚いたルベティは今度はスカートのすそを踏んでまた階段から落ちてしまった。またもやエルギ公爵が抱えてくれたので、間一髪事なきを得た。
「なぜ何度も倒れるの?」とささやくエルギ公爵。
「本当に結構ですので!!」そうまた叫んだルベティは、彼の手を振り払う。
「彼は悪者よ!!あれは優しいふり!!!」今度は振り返らずそう呟いてその場を去った。
*****
ナビエのもとに帰ってきたハインリ。
飛んで入ってきた彼をナビエは優しく抱きしめた。
「ハインリ!」
腕の中に彼が確かにいることに安堵する。しかしやっぱり彼は痩せていた。
「ハインリ、私のハインリ…」
ナビエが優しくハインリを両手で包みこむ。よく見ると、その紫色の瞳には涙が溢れていた。その瞳は寂しそうに見えた。
鳥の時も、よく踊って楽しんでいた可愛らしい姿を思い浮べるかぶと、ナビエの心が痛くなった。
早く人の姿に人に戻って…と言うナビエ。いったものの、どう接しようと戸惑って少し後ろに下がっていると、ハインリはテーブルの傍に隠れる。そして、黄金色の鳥は、見事にしっかりした体を持つ男に変身した。
「クイーン…」
ハインリはナビエに近づいて両頬を手で包み、じっと彼女を見つめた。
ナビエに言いたいことが沢山あるようだ。愛を込めた言葉、慰め、心配、挨拶の言葉…。しかしさっきナビエがそうしたように、ハインリも額をくっつけるだけだった。しばらくして口を開き、侍女と護衛たちはどこか?と尋ねた。
ナビエは、ランドレ子爵は連合の仕事で席を空けていて、彼以外の護衛は皆ハインリの一族の人々で、わざとそのような配置にしたと伝えた。
ハインリはナビエに窓の位置を聞いて、周囲を確認しながら窓辺に近づいた。そして、ナビエはこの部屋に来るとすぐにカーテンをたっぷりと押し寄せて、ため息を吐いて窓を閉じた。
ハインリは自分がこの部屋に来たことを気づかれることを気にしていたが、ナビエは招待状にあなたも来ると書いたし大丈夫、と伝えた。
*
ハインリの服についての話をしようとしたところで、外から足音が聞こえてきたことに気づく。ナビエはすぐにハインリを寝室に追いやり、浴室からバスローブを取り出して彼に投げた。
そしてドアに近づく途中で、テーブルの上に羽根が2つ落ちていることに気づいたので、サッと羽根を取ってカーペットの下に入れた。
ナビエが部屋を整えたところで、すぐにノック音が聞こえてきた。
ナビエは勤めて冷静に‥と思い、少しだけドアを開けて訪問者を確認した。するとすぐにエインジェルの顔が見えた。彼の目は笑っていなかった。
彼の後ろには第四騎士団の騎士たちの姿も見えた。ハインリの種族の騎士たちと戦いがあったはずなのに、その数は未だに多かった。
ナビエは思わずハインリの種族の騎士たちは大丈夫だろうか、みんなうまく逃げることが出来ただろうか…と気に掛ける。しかし、その場では取り乱すわけにいかないので、冷静に彼に「どうしましたか?」と質問をした。
しかし、敵意は隠さなかった。そのほうが自然だからだ。
すると、「私の鳥が逃げました。」とエインジェルは言ってきた。
そして、鳥が逃げたがここに来たので部屋の中を確認させて欲しいという。部屋を見せられない場合は、残念ながら盗んだ犯人と思わざる得ない、だそうだ。
『はい?私の鳥でしょうが!』とナビエは思い、拳を握ると中に氷が出来、それは足元に落ちた。
ナビエはドアを開けて彼を受け入れた。
ドアを開けると、エインジェルは笑っているのが見えた。
不思議だなと思うナビエ。彼はゲームを楽しんでいるようだと感じた。
エインジェルは困った性格の持ち主だが、逆に利用できるかもしれないと考えると、すぐにアイデアが浮かんだ。
ナビエは状況を仮定した後、彼に冷たく尋ねた。
「大変失礼なのことだと思いますが、私の部屋に鳥がいなければどうしますか?どのような対価を払って下さるのですか?」
するとエインジェルの口元にはっきりと笑みがこぼれた。彼は駆け引きが好きなのだ。予想通りだった。
「そうですね。もし皇后陛下の部屋に私が探す鳥がいなければ、当然その代償を払わなくてはなりませんね。どのような対価が必要でしょうか?」
彼はナビエの部屋に鳥がいると確信しているようだが、そう言わないと示しがつかないと思って言っているようだった。
本当であれば西大帝国に対する攻撃を止めるようにと約束させたかったが、それは約束させることはできないだろう。エインジェルは第四騎士団の団長であるから、国家を巻き込んだ争いを止めることはできないだろう。
であれば何を代価として賭ければよいだろうか、ハインリと自分に対する失礼の対価になるだろうか…ナビエは必死に頭を回転させた。すると、自然にハインリが結んでいた紫色のリボンのことが浮かんだ。
「もし鳥が見つからなければ、新年祭パーティーの時に、あなたが紫色のリボンをして私の従者の役割をしてくださいませ。」
この要求にはエインジェルは目を大きく開いた。予想してもいなかかった話のようだが、すぐにキツネ顔に戻り、「条件を受け入れます」と返答した。
まるで、自分の勝利を確信でもするかのような表情だった。
*
ナビエは笑ってドアを開けた。ハインリは頭がいいので、バスローブを着て適当に過ごしているだろうと思った。
エインジェルは、鳥ではなく人だけがいることにとても驚き、目がいつもの倍ほど開いていた。
ナビエは「中を存分に探してください。」と伝えたが中を見るとハインリは股だけをバスローブで隠し、優雅にベッドの上に横たわっていた。そして、不服そうな表情で騎士たちを見ている。
これを見た騎士たちは、驚き困った表情で顔を見合わせた。エインジェルもナビエを一瞥して、「見なかったことにします。」と告げて口をギュッと閉じた。
*
エインジェルが退散した後、ナビエはドアをしっかり閉めた。
そして、ハインリのもとに向かうとハインリは「あのキツネ顔にクイーンを従者をやらせるなんて…夫の目がここにあるのに…」と言って不服を伝えてきた。
ナビエは、貴族であるエインジェルに公の場で使用人をさせるのは後世に渡っての一族の恥となるので、そうしたと反論した。
*
ナビエは「ここで横になったらどうするのか?」とハインリに聞きながら彼を引っ張ると、逆にハインリに抱き寄せられ、あっという間に彼の懐に抱かれるようになった。
ナビエはハインリの大きな胸に抱かれると体が温まり心地よく感じた。
ハインリは「会いたかった」と一言囁いたのだった。
*****
一方、鳥かごが置いてあった廊下の中央にはエインジェルがいた。騎士たちは他の王族にも了解を得て、部屋を調査していた。
副団長はエインジェルに「…団長様。本当に紫色のリボンを巻き、ナビエ皇后の従者をするのでしょうか?」と尋ねる。
しかし帰ってきた答えは全く違う質問だった。
「大きな鳥がどうやって一瞬の前に消えたのだろうか?」と。
*
続く。
ついにハインリとナビエは再開できました。よかった!!
エインジェルは一泡吹かせられましたね。
しかしエインジェル、鳥の行方についてこれ以上深追いしないことを祈ります。
どうなるんだろう…。
*
この続きの249話はこちらからどうぞ
https://womancomic-blog.net/index.php/2022/05/09/saikon-gensaku-249/
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