LINEマンガで連載中の『再婚承認を要求します』の原作、韓国小説の翻訳ネタバレを記載。
端折ってまとめて書いているので、全体的に伏線漏れあり。ご了承ください。
過去の翻訳はこちらからどうぞ!
250話 自分を信じること
『あなたは誠実で誠実な人柄だ。しかし、自分が思う正義に沿った行動しても、全ての相手にそれが正しいとは限りません。』
以前、神官から受けた忠告がナビエの頭に浮かんだ。
ランドレ子爵はまっすぐな視線でナビエを見つめる。
”ランドレ子爵なら約束を守るだろう”。--彼は捕えられた三人の鳥一族を救うことを成し遂げるであろう。
しかし、真実を知った彼は、今後も西大帝国の力になってくれるのだろうか。
ランドレ子爵は博識で頭の回転も良い。そんな彼が、魔力減少現象を起こして多くの人たち、エベリーのような人から機会を奪ったという事件を発生させたことに目を瞑ってくれるのだろうか。
東大帝国の力を弱めるためにそうしたという言い訳もランドレ子爵には通用しない。彼に対する追放令が取り下げられた今、れっきとした東大帝国の貴族である。
しかし、ランドレ子爵は正義に反する話を絶対に承服できない人間でもあった。
博学で正義心の強い人間である彼は、その思想故、過激な言動から騎士としは悩みの種でもあった。どうすればいいのかナビエは途方に暮れた。
彼は既に真実を知っていてナビエに試練を与えたのかもしれないし、
真実を知りたくてナビエに質問を投げたのかもしれない。
ナビエにはどちらなのかの検討がつかなかった。
*
「皇后陛下。お願いします。」
そこでランドレ子爵が再びナビエを呼んだ。
ナビエが答えに窮していたので、既に彼に対する答えになったのではないかと思うナビエは、結局、考えを変えることにした。
「捕らわれた3人を救ってくれたら答えをします。私の名前をかけて」
*****
どう答えるのが良いだろうか。
ランドレ子爵が部屋を離れると、ナビエはすぐにマスタースを呼んだ。そして、「忙しいと言っても今すぐ陛下を連れてきて欲しい」と伝えた。
マスタースは驚いた様子だったが、走って呼びに行った。
ナビエはソファに座って、イライラと貧乏ゆすりをして待った。
*
約30分後、ハインリがドアを開けて現れた。どうしたのか?と驚いて、急いで駆けつけた様子だった。様々な悪い予測をしたようで、ハインリは部屋の中に入ってすぐにナビエを心配そうに見つめた。
「私は大丈夫です」
ナビエはそう答えてドアを閉めた。
そしてハインリににランドレ子爵と交わした話を知らせた。勿論、鳥種族の騎士の3人が捕まった話も伝えた。
ハインリはこれを何も言わずに聞いて、深刻な表情であごを触った。
ナビエは、「3人の騎士のことはランドレ子爵が責任をもって開放してくれるでしょう。」と伝えた。
するとハインリは「その男をすごく信頼しているのですね、クイーンは」と不服顔。
嫉妬している場合ではないと治めるナビエ。しかもランドレ子爵にはニアンという完璧なお相手までいるのに、だ。
「やむを得ませんが、エインジェルという男がクイーンの従者をするのも嫌です。クイーンのお相手は私だけがいいのに。」
ナビエに近寄ってきて悲しい顔をするハインリ。ため息をついて、ナビエの首筋に口づけをした。ナビエは彼の髪が耳元に触れるのがくすぐったく、肩がすくんだ。彼の口づけで髪が首をサワサワするたびに、くすぐったく思わず笑ってしまうのだった。
しかし笑えるような状況ではない。ハインリにそんな状況ではありませんよ、と伝える。
だが、「私にもあれこれ命令して欲しいです、クイーン。」という始末。
「本当にして欲しい?」と聞くと、「欲しい。たくさんして欲しい。」と言って、ナビエの耳たぶをかんだ。
彼が囚われている間、よほど辛く寂しい思いをしたのかもしれない、と思うナビエ。
とりあえず、ハインリの気持ちが落ち着くのを待った方が良いと思い、彼にされるがままになったナビエだった。
*
ナビエは少しして離れた。すると不服そうな顔をするハインリ。
ハインリにちゃんと話を聞いて欲しいと言うナビエ。そして、自分が思う命令とハインリが考える命令にはどうやら乖離があるようだと伝えた。
とりあえず、ハインリがして欲しい命令とやらが多少は気になるナビエだったが、後で家に帰ってからすることにして、ランドレ子爵への回答をどのようにするか、を決めたいと言った。
するとハインリはナビエの額にキスをした。
ナビエは自分がこんなに悩んでいるのに、まだそんなことをするのか…とため息が出たがそれでも彼が行方不明の状態よりずっとマシだと思った。
彼と一緒にいることは心地が良い。
誰かによりかかるのは自分が弱くなると思っていたが、彼がそばにいれば強くなれると思った。この矛盾は何だろうか…
*
ナビエはどんどんハインリの雰囲気に引き込まれるが、無理やり自分を奮い立たせてハインリにまた尋ねた。
「どう答えて欲しいですか?」
するとハインリは手を伸ばしてナビエの手に自分の手を重ね、「クイーンが決めてください」と答えた。
これにはナビエは驚いた。こんな重要なことは自分では決めることが出来ないと思った。しかしそれをハインリに伝えても、「どうなっても仕方ないことだよ」と軽く笑うだけだった。
そして、「ランドレ子爵については、私よりあなたの方がよく知っているじゃないですか。今回はあなたが決めた方が正しいと思いますよ。」と言う。
とはいえ、もしランドレ子爵がこの件でこちらに失望して敵になったら?
連合側について私たちに剣を突きつけることがあれば、こちら側の不利だ。
はたまた、このことが公にされ、ランドレ子爵が敵に”これは事実だ”と証言したら?
他国の人々はまだ知らないので、どのように告白するかは分からないが、ランドレ子爵がエインジェルと手を組めば話は深刻さを増すだろう…。
色々と頭がこんがらがったナビエは、責任感の重さに自分が押しつぶされそうになり、考え込む。
しかし、その瞬間ハインリはナビエの手を握ってしっかりとこう言った。
「クイーン。あなたがどんな決断を下したとしても、それは私の責任です。その問題に着手したのも中断したのも私の決定です。だからクイーンが責任を感じる必要はありません。私がクイーンが決めて下さいと言ったのは、クイーンに責任を負って欲しいわけではありません。」
「ハインリ」
ナビエはうなずいた。もちろん、それは『全てはハインリの責任である』ということに同意するという意味ではない。
彼が自分に責任を押し付けるために、話の決定を迫ったのではないということ。そこに同意するという意味だった。
神官の警告、ランドレの覚悟、ナビエが見たランドレ子爵。
*
そこへ…ドアをノックする音が聞こえてきた。
「皇后陛下」
ランドレ子爵の声が聞こえたので、ナビエはソファから立ち上がり、背筋を伸ばしてこういった。
「入りなさい」と。
*****
「靴を置いて来てしまった!!!」
ルベティは絶望的な気持ちで頭を抱え込み、絶叫した。あのクソ男の前で靴を脱いで走り去るなんて!
靴はあの男(エルギ)が座っていた階段の近くに置いてきたが、例の日から数日経過してようやくこのことに気づいたのだった。
ルベティは相手にバカだと思われたに違いない、敵にこんな姿を見せるなんて…と、とても落ち込んだ。
そして、もしかしたらまだ靴がおいてあるかもしれない、と思い先日の場所に行ってみたが、靴はなかった。
*
まさか彼が持ちかえったのだろうか。通り過ぎた使用人が片付けたのだろうか。誰か他の人が拾ったのだろうか。
靴の行方が分からず悩むルベティは、赤ちゃんの部屋に行っても同じ表情だった。カイ・ラリの前で無心にガラガラを振りながら踊っていた彼女を見て、ローラは驚いた表情で聞いた。
「ルベティ、どうしたの?」
自覚がないルベティは「え?」と聞く。
「何事なの?なにかあったの?」さらにローラは聞くが、ルベティは答えることを躊躇した。
『嫌いな人を殺そうと思ったが、失敗した。それで、その場に靴を忘れた。』
どこまで言っていいのだろうか。ローラはどんな反応をするだろうか…。
ローラは明るい太陽のような女性だ。まだ幼いがキラキラ輝く笑顔の持ち主に、こんなに暗い感情を持ち込んでいいのだろうか。と悩んだ。
「私たち友達じゃない!言ってみて!」
ルベティが悩んでいると、ローラはテーブルを両手で叩いて、話をするように促した。
その言葉に心が軽くなったルベティ。ローラとはナビエが大変な時も傍で彼女を守り、今までずっと一緒にやってきた。同士になるかもしれなかった人だと決心し、言うことにした。
ルベティは「実はエルギ公爵が階段にいた時、その背中を押してしまおうと思いました」と告白する。
本当か、と驚くローラ。
ルベティは続ける。
「しかしそれは愚かなことでした。実際は、できませんでした。押せば自分は捕まえられただろうし、ナビエ陛下にも迷惑を掛けて、父が任せた領土も母も甥も困ることになるのに。」
ローラはなぜ押すのを止めたのか、と聞く。
これにもルベティは「なぜ押さないのかと、彼に聞かれたからです」と正直に答えた。
これにはローラも驚いて「本当ですか?!エルギ公爵は狂っているのですか?」と言った。
しかしルベティは、靴の事を話した。
「問題はそこではなく、靴です。足音を出さないように靴を脱いで、近づいてしまいました。バレてとにかく慌てて急いでその場を去ったので、靴を置いてきてしまいました」
「靴が惜しいのではありませんが、もしかしたら彼が持って行ったのかと思って…」
この話に驚いてあきれるローラ。そもそもエルギ公爵がルベティの靴を持って帰って何に使うと言うのか。
ルベティは「靴がなくなったので、誰かに捨てられていないのか、他の人が持っていなかったのかが気になって…」と伝えた。
ローラは、「わかりました。任せて下さい」と言って、笑ってルベティの肩を叩いた。
「心配しないでください。私は誰も怖くありません。」と言うローラだった。
何をするんだろうと気になるルベティだったが、任せることにした。
***
ローラはすぐにエルギ公爵が泊まっているという部屋に訪れて、ノックした。
するとしばらくして大きな影が見えたので、ローラはびっくりして尻込みした。
すると、部屋の中にはいなかったのか、エルギ公爵は気づくと自分の後ろに立っていた。
ローラが彼に気づいて目が合うと、エルギ公爵は首を傾げて呟いた。
「ナビエ皇后の侍女さんですね」
ローラはすぐに「侍女ではありません!最側近の侍女ですです!」と反論した。エルギ公爵は、何の違いがあるのか…という表情であったが。
ローラはひるまず続けた。
「私の友人があなたのお近くで靴をなくしたので、ご存じか聞きに来ました。」
エルギ公爵は「ああ、あの刺客のお友達なのですね」と言うので、ローラはまたキーっとなったが、エルギ公爵は「何を本当の事ではないですか」と平然と笑いながら言った。
ローラが「押そうとして逃げなかったあなたは、罪の意識があるのではないですか」と言うと、彼は彼女が刺客だと認めるのかと相変わらず笑っていた。
ローラは心底イライラして、靴の話に内容を戻した。
すると、「家に帰って探してください」とだけ答えが返ってきて、彼は部屋の中に戻っていった。
「とにかく本当の性格悪い男だわ!」
エルギ公爵が部屋に入るのを見たのと同時に、ローラは閉まったドアに向かって舌を出したのだった。
*
一方、エルギ公爵は部屋に入った後も笑っていた。
彼はテーブルの上に置かれた箱を見ていた。その箱の中にはルベティが置いて行った靴が入っていた。
送り返すつもりだったが、実は住所が分からないので送ることができなかったのだ。考えると、敢えて家に送る必要はないように思えた。
その時、窓の外に鳥が現れた。エルギ公爵が窓を開けると鳥はさっと入りテーブルに座った。ハインリが送った鳥かと思ったが、よく見るとブルーボヘアンが良く使う伝書鳩だった。
これにはエルギ公爵も驚いた。
ブルーボヘアンの王は彼とハインリが親しい友人であることを知り、かつてはその友情を利用しようとしていた。実際に何度か王の手助けをした。
しかし今は西大帝国とは手を切って連合に付いてしまったのに、手紙とは何だろう。不思議に思いながら、エルギ公爵は手紙を広げた。
意外にも手紙は実家からだった。
しかし、内容を読んだ途端、エルギ公爵の表情が固まって慌てて扉を開けて外に出た。
ハインリに会って相談したいことが沢山あったが、今は何も浮かばない。とにかく急いで帰らなければならなかった。
エルギ公爵は廊下を急いで走った。ローラはまだ廊下を歩いていたが、彼女の事を気にしている余裕はなかった。
エルギ公爵が走り去った後、ローラはとても驚いて、目を丸くした。
「今走り去ったのは、エルギ公爵??」
*
続く。
またまた、また、時間を空けてしまいすいません。
250話ではランドレ子爵への返答の結論はありませんでした。
だけど、ナビエの推測の通り答えないこと=ランドレ子爵にとっては答えになっているに違いありません。
それにしても3人を解放したら答える…なんて。さすがナビエ!
もしランドレ子爵が失望して寝返ったとしても、3人が捕らえられているのとそうじゃないのとでは大違いですものね。素晴らしい采配です‥。
*
ルベティが靴を忘れた話、どうでもいい内容かと思いきや、
最後にでてきた慌てていたエルギ公爵の話が気になります。
実家からの手紙とは何でしょう?お母さん関連でしょうか。続きが気になりますね。
*
そう言えば…最近ソビエシュ出てこないですね。出てこないと平和です。(そうでもないけど笑)
*
この続きの251話はこちらからどうぞ
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