LINEマンガで連載中の『再婚承認を要求します』の原作、韓国小説の翻訳ネタバレを記載。
端折ってまとめて書いているので、全体的に伏線漏れあり。ご了承ください。
過去の翻訳はこちらからどうぞ!
261話 出会いとさよなら
ナビエとソビエシュはしばらくお互い無言で見つめ合った。まさかこのような状況で遭遇することを想像しておらず、困惑していたのだった。
ナビエ自身はソビエシュに疾しい気持ちはないが、それでも気まずくは感じるものだった。
*
ソビエシュの視線はナビエからラリへ行き、彼は下唇を噛んだ。次の瞬間、
「大丈夫?」
「元気?」
ナビエとソビエシュは同時に言葉を発してしまう。
ソビエシュは躊躇しながらも、「元気になったよ、君の事はもう、気にしていない。」と答えた。
ナビエは、ーーそんなこと言ってラリをみてあんな表情をしていたけどーーと思いながらも、「とにかく、記憶が戻ってよかったです。」と伝えた。
ラリを抱き直すと、ソビエシュがこちらを見る。ナビエは思わず、”その眼差しにはどんな意味があるの?”と聞きたくなったが、言葉を飲み込んだ。
ソビエシュは呟く。「西大帝国の皇女は私が愛した女性によく似ているな。笑顔がとてもよく似ている。」
ナビエは、さらにぎゅっとラリを抱きかかえたのだった。
*
ナビエはソビエシュのいる場から去ろうとした。
ソビエシュはナビエの去り際に「私はいつでもここにいるから。」と告げた・・・。
ナビエはどう反応すべきか、しばらく考えたが一応うなずいた。
深く考えなければ彼の言う通りで正しい。自分はいつくるかはさておき、彼にはここで会うことができるだろうと思った。
そのまま、ソビエシュに背を向けていたが、しばらくすると後ろから何の音も聞こえなくなった。
ナビエがゆっくりと振り返るともう噴水の前にソビエシュはいなかった。
代わりに、過去の私とハインリーとソビエシュの幻影が見えたのだったーー。
*****
東大帝国からの出発直前。
ナビエは机に向かい手紙を書こうとしていたが、中々筆が進まない。
*
「皇后陛下?帰り支度は終わっていますか?」
ジュベール伯爵夫人がドアの外から声をかけて来た。
声を聞いて時計を見ると、すでに3時間も筆を持ち格闘していることに気づいた。横を見ると、くしゃくしゃに丸めた書き損じの紙がたくさんだ。
ナビエは少し待って欲しいと伝え、心を決めた。
そうすると不思議と筆は進み、3時間悩んだものは、書き始めてから5分で完成させることができた。
*
ナビエが外に出るとジュベール伯爵夫人とローラが心配そうに待っていた。
その後、馬車に乗ろうとすると、父と母が訪ねてきて、母はナビエに父のことは心配いらないよと抱きしめて伝えたのだった。
ハインリーもナビエの両親に挨拶をし、次回、また会うことを約束した。
ナビエはハインリの挨拶が終わるのを待って、先程書いた手紙をさっと父に渡した。
*****
「ナビエがこれを私に・・?」
ナビエの先程の手紙はソビエシュ宛だった。
ナビエの父・トロビー公爵がそうだと告げて、手紙を渡した。
普通の白い封筒だった。格式高いものでもなければ、封も空いていた。
中から手紙を取り出すと、ナビエらしい全くゆがみのない文章が現れた。
*
ソビエシュが手紙を読んでいる間、トロビー公爵とカール侯爵は目配せをしあった。
トロビー公爵としては、娘がどんな手紙を書いたのか気になったが、敢えて内容を聞かなかった。カール侯爵も同じだ。
*
ソビエシュは手紙を読んだ後、しばらくの間宙を見ていた。
まさか、また幻想を見ているのかと思い、見守る二人は不安に駆られたが、ソビエシュは変わらぬ様子で、立ち上がり外に出ていった。
行き先は噴水の前だった。後ろ手で立ったまま、彼はずっと湧き上がる噴水の水流を見ていた。
『幸せになってください、という事はできませんが、良い皇帝であって下さい。』手紙にはそう書いてあった。
*
ソビエシュは目を閉じて考える。
自分が傲慢だったことには気づいていた。国と同じようにナビエの心までを治めようと思っていたが、そうなるはずもない。
離婚を伝えた時、すでにナビエを取り戻す道はなかった。それを知りながら未練が断ち切ることができなかったし、ずっと後悔し続けていた。
***
「陛下」
カール侯爵が後ろからソビエシュに声をかけたが、ソビエシュは振り返らずに流れる噴水を見つめ続けた。
「カール侯爵。私は愚かだった。ナビエを取り戻す道はない。しかし、ここまで関係を悪化させない方法はあったのに。1年前から私はずっと最悪の選択をし続けて来たのだな。」
ソビエシュは重くため息をつく。
「現状にも絶望しないことにする。それが本当の最悪の選択だな。後悔が消えない。だから、その気持ちを胸に前に進むしかない。」
そう言ってソビエシュは歩き始めた。
カール侯爵の目には涙が浮かんでいた。
*****
ナビエとハインリたちの帰りの道中。
揺れる馬車の中で、ハインリは人々がどれだけ二人の赤ちゃんを愛されているのか、どれだけ輝いていたか、誰がどのように称賛をしてきたかを事細かに伝えてきた。
ナビエも最初は気分良く聞いていたが段々、”ハインリはそんなことを一言一句覚えているの?”と気になってきた。
*****
このような話を数日の旅の道中していると、馬車は西大帝国に到着した。
ナビエは馬車から降りて周りを見回し、家に帰ってきてホッとした気持ちになった。
久しぶりの東大帝国への帰国も嬉しくはあったが、もうここが自分の家なのだ・・そう、改めて感じた。
「クイーン」
ハインリはラリを抱えながら、ナビエの私の甲の上にキス。
彼も同じように家に帰ってきたことを喜んでいるようで、二人で笑い合った。
*
朝食を終えた後、ナビエはスケジュール整理のため、机に向かった。
スケジュールには副官が書いた今月の必須参加のスケジュール、そしてナビエの個人的なスケジュールがあった。
先のスケジュールを見て行くと『ナビエの誕生日』という記載があり、目に付き、思わず考えた。
*
失うはずだったこの幸せな日常がどれほど大切なのかを改めて感じるナビエ。
同時にこれを守っていかなくては‥と気持ちを新たにした。
今は本当に平和だ。
ナビエはスケジュール表を戻し、ゆりかごの中にいた、ラリとカイを抱き上げて、交互にキスをする。
平和がゆえに、その命の重みを考えてしまっていた。
****
「何か嬉しそうですね、クイーン」
思っていることが顔に現れていたのか、国会に出席する準備をしていたナビエにハインリがそのように話しかけて来た。
「愛に形があるとすれば、人の姿なのではないかーーそんなことを考えていました。ハインリは愛に形があるとするならーーそれは、ダイアナや金のような宝石だと思いますか??」
ハインリーは慌てて手を振る。
「いいえ!愛に形があれば、奥さんであるまさにあなたのことでしょう・・・。」
ハインリが言い終えるとマッケナがまた始まった・・と言わんばかりに青い鳥に変身。慌てて遠くに飛んで去った。
一方のハインリは恥ずかしくなったのか、照れている。
その姿が可愛くて面白くてナビエが思わず笑っていると、騎士が外で叫んだ。
「皇帝陛下、皇后陛下!コーシャル卿が陛下にお会いしたいとのことです」
*
兄がなぜこんな時にやってきたのかーー。ナビエがあれこれ考えているとハインリがすぐに入室を許可した。
するとドアが開き、兄が入ってきた。まだ暗い表情だった。
ナビエは兄を見ると、さっきまでの晴れやかな気持ちは嘘のように気持ちが沈んだ。兄はまだシャーロット姫との件で落ち込んでいるのだろうか。
「お兄さん、どうしましたか?」
ハインリも同じことを思ったのか、優しく彼に話しかける。
しかし、兄の口から出た言葉は言葉だった。
「私は連合に所属する騎士として、東西連合の権威を誇示するために、サンチェオンを一掃しに参ります。」
ナビエは驚いて視線をそらした。天井の方に視線を向けると、青い鳥の姿のマッケナがそこに。くちばしを開け、同じく驚いた表情だった。幸い兄は床に落ちていたマッケナの服(鳥になった時に脱ぎ捨てられた)には気づいていない様子だ。
*
ハインリはそれを知ってか、コーシャルの手を握って外に出た。
「なぜ突然そんな決定をしたのですか。もしシャレット姫とマスタース嬢のためなら、本当に気にする必要はありません。そのことで私たちが損害を被ったことはないですよ。」
しかし兄の意思は固かった。
「私が役に立つのは、戦闘の時だけです。新しく発足した連合であれば、目に見える成果が必要です。サンチェオンを相手にすることは、私は慣れており、嬉しいんです。ナビエをよろしくお願いします。」
*
ハインリが戻ってきた。コーシャルが去った後、マッケナは天井から飛んで戻り、抗議するようにハインリの頭上を一周する。しかしハインリの表情は変わらなかった。
マッケナは急いで自分の服をくちばしで噛んで傍らで着替えて出て来た。
「皇后陛下、この問題はどうするのですか?!」
ナビエが答える前にハインリは、ナビエの前で服を着替えるなと真顔で注意する。
「そんなことを言っている場合ではありません!」と怒るマッケナ。
ナビエは手を伸ばしてハインリとマッケナを仲裁し、落ち着かせた。
そして、兄は行くと言ったら聞かないと伝える。
マッケナは驚いた表情をしたが、そんなに意外なことなのか‥ナビエは逆に驚いたのだった。
*****
その数時間後、ナビエは侍女たちと過ごしていた。そこにはマスタースもいた。
マスタースはコーシャルの話を聞いて心配の表情をする。
「皇后陛下、危険です!!あの柔かいコシャール卿が、野蛮な盗賊たちと戦うなんて…」
”やわらかい”?にローラが吹き出しそうだったが…。
*
ナビエは飲みかけていたコーヒーカップを置き、マスタースの幻想に初めて反論した。
「兄よりも、むしろサンチェオンの首長の方が柔らかいですよ。マスタース嬢・・・」
しかし、マスタースは首を横に振って悲しげな表情で力なく答える。
「それは皇后陛下が兄弟だから、そう見えるのです!陛下、私も自分の兄は世界一丈夫で砂漠に置き去りにしても一人で生きて行けると思います。」
マスタースの兄エイプリン卿もまたそのような人間であることは事実なので、ローラは我慢できずに「ぷっ」と吹き出してしまった。
(結局、ナビエとマスタースが同時にローラを睨んだので、深刻な表情で謝罪することになった。)
*
ナビエはマスタースの横に座って、肩を抱きしめた。
「マスタースさんの兄は本当に強いですよね。昔から私の兄であるコーシャルも乱心するたびにサンチェオンに戦いを挑みに行っていた。今回も同じような話ですから、彼が心の整理ができるのを待つのが良いですよ。」
マスタースは苦しい表情であったが頷いた。
*
そして兄が去る時も、マスタースは毅然とした見送ったのだった。
*****
しかし1週間後。
東大帝国からアルティナ卿が訪ねて来た。
マスタースはアルティナ卿の前に跪いて、こう述べた。
「皇后陛下の側近侍女として、陛下を守る大役をくださりありがとうございます!」
突然の称賛に、ナビエは驚いて眉をひそめた。
アルティナ卿も剣をつかみ、眉間をにしわを寄せる。周りの侍女たちも何が始まるのか!?と驚いた表情だった。
*
ナビエはマスタースに寄り手をかけるも、マスタースはそのまま固い声で話し続けた。
「私、マスタースは騎士であることを捨て、皇后陛下の侍女として生きてきました。しかし、今一度地下騎士団の一員として戻らせてください。」
周囲が一瞬にして静まり返った。
ナビエも彼女から手を離して一歩後退した。
彼女は泣きながらナビエに告げた。
「地下騎士団の団長として、帝国連合騎士団長のコシャール卿のサンチェオン一掃を助けたいと思います。どうぞお許しください。」と。
*
続く。
『幸せになってください、という事はできませんが、良い皇帝であって下さい。』
この単語にこれまでのナビエの想いが全て詰まっているなと感じました。
一方的に離婚を迫られ、離婚。その後の西大帝国でのハインリとの生活。終わらなかったラスタの嫌がらせ。西大帝国では辛いことも合ったけど、幸せもあった。
その後でまたソビエシュがおかしくなって振り回されて・・・。
書いていると本当に色々ありましたよね。
そんな中で最終的にこの単語が言えるナビエ、本当に立派な女性だなと思わされました。
本当に。せめて良い皇帝であってください。ナビエの祖国の皇帝なのだから。
*****
そして、コーシャルはやっぱりすんなりマスタースとハッピーエンド♡とはならないですよね。
これも読者の予想の範囲です。
でも、マスタースはやっぱり気にしますよね。
ローラとともに一読者として笑ってしまいましたが…w
二人には一大事ですよね。
サンチェオンに無事勝利して、二人で美酒を酌み交わし、素敵なカップルになれる未来を祈っています。
まずは無事に二人とも帰ってこれますように。これは外伝に続くのかなあ。
*****
さあ、ラスト1話が最終話です。
翻訳始めてからもう2年も経ってしまいましたが、もしまだ読んでくださっている方いらっしゃいましたら、拙い表現と感想を垂れ流していること、お詫びいたします。
最後までよろしければ、お付き合い願います。
この続きの最終話はこちらからどうぞ
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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もちろん、今も読んでますよ〜❣️
更新ありがとうございます!
マンガ版も好きですけど、こちらのお話読む方が、登場人物の心情が伝わってくるので本当にありがたいです!
私はソビエシュも嫌いじゃないので、ナビエ様の代わりに、彼にも幸せになって欲しいと言ってあげたいです!笑
再婚承認を要求します。を読ませて頂いてます!
ほんとにありがたいです!
次の更新を首を長ーくして待ってますので、ぜひともよろしくお願いします⊂((・x・))⊃
今か、今かと首を長くしながら、お待ちしています(*^^*)
翻訳ありがとうございます!
残すところ、最終話!!
楽しみにしています(^-^) /
よろしくお願い致します。
コメントありがとうございました。やっと投稿いたしました。
もしよかったらお付き合いください!^^
ラインの漫画を読み始めて、検索してこちらを知りました。
翻訳ありがとうございます。
最終話の前に、また読み返したいと思います。
楽しみに待っております。
コメントありがとうございました。立ち寄りありがとうございます。
最終話も更新しましたので、よかったらご参考ください^^